村上春樹作品には「魯迅」の影 著名翻訳家
作家・村上春樹氏の著書「ねむり」と「雑文集」の中国語版の出版記念イベントがこのほど、北京で行われた。イベントに出席した中国近代文学者・翻訳家の藤井省三氏は「村上作品には魯迅の影が隠れている」と語った。「長江日報」が伝えた。
藤井氏によると、村上氏は高校時代から魯迅の本を愛読しており、村上氏が読んだ「阿Q正伝」の表紙絵には、程十発氏が描いた「阿Q正伝108図」が用いられていた。「村上氏が思い描く阿Qのイメージは程十発版により近かった」という。
藤井氏は、魯迅の影響が見て取れる具体例として、村上氏の処女作「風の歌を聴け」の冒頭の一文を取り上げ、「『完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないように』は、魯迅の雑文集『野草』の中の『絶望は虚妄だ、希望がそうであるように』という名文を彷彿とさせる」と指摘した。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年3月22日