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古道も「世界遺産」に 日本の遺産保護に注目 (2)

中国メディアが見る日本  

 管理態勢の整備は熊野古道の保護に良い影響をもたらした。「熊野交通社」のガイドを務める清水さんによると、当初は各県それぞれで古道に土を盛ったり、雑草を抜くなどの保護作業を一生懸命行っていたが、体系的ではなかったため、修復・修景個所の重複があったり、もともとの景観を破壊してしまったり、古木を傷つけたりなどの問題が起こっていた。しかし官民連携の管理態勢が構築されると、三重県は「10万人環境保護活動プロジェクト」を制定して、世界遺産保護の組織を設立し、ボランティア、地元住民の保護活動を統一した管理システムの下に収めた。プロジェクトに基づき、異なる古道には定期的に各チームで分担して保護と修復を行い、古道を基本的に元の姿に復元させることに成功した。3県はさらに古道の沿道の木に見られる落書きや彫られた文字、旅行者が捨てたゴミの処理などの問題についても協力して解決した。

 取材を行った記者が古道で見たのは、千年を超える風雨に耐えてきた古道が今でもほぼもとの姿を保持している景色だった。古道の両脇には巨大な古木が林立し、沿道に置かれた古代の塑像や、古い建築物、自然の風貌が渾然一体となり、ゴミや伸び放題の雑草などもまったく見られない。その光景からは古道に含まれた豊かな歴史的情報を肌で感じることができる。

 (2)適切に使われる資金

 熊野古道の文化遺産には損なわれやすいという別の問題がある。これは特に防災の問題につながる。熊野古道は高く険しい山脈の間を、河原が縦横無尽に交錯する古木に囲まれた地域にあるほか、降雨量が日本一である紀伊半島は、常に台風に襲われ、洪水が発生したり、がけ崩れや泥石流が起こるなど、自然災害の多い土地柄である。「世界遺産」が無事に登録された当初、和歌山県の地方自治体は景観や風貌を保持するため、セメントではなく、石垣を積んで河原の堤防を作ったり、防護ネットをなるべく使用しないようにした。しかし、災害がもたらした痛みと損失を前に、和歌山県の自治体も現実的な方法を取らなかったことを反省し、「安全」を第一とする防災態勢と世界遺産保護プロジェクトを立ち上げ、5700億円の予算を捻出して被災地の復興、修復と防災、早期警報などの作業を行った。記者が古道を訪れた時も、ちょうど台風が近づいていた。那智大社につながる古道では、道路脇の山側の壁面には防護ネットが張られ、河川や山際の排水溝の脇には砂袋がびっしりと積み上げられていた。沿道の休息所の作業員は順次訪問者に防災情報をよく読むようにと注意を喚起していた。

 (3)全国民が関与するべき課題

 遺跡の保護以外に、古道が持つ精神文化を広め、エネルギーを高めて輝かせることも現地の人々が直面している重要な課題だ。このほか、観光協会は定期的に「熊野古道ウォーキング」のイベントを行ったり、「熊野川川舟下り」などの各種伝統行事やイベントを復活させたり、現地の人々が積極的に古道文化を発掘することを奨励している。また、世界遺産の特色が最も楽しめるおすすめ観光ルートを紹介するほか、「文化振興に基づく観光振興。遺跡や古道を過度に開発・消費しない」という理念を確立した。

 中国にも古くから「始皇帝」が「全国巡遊」に使用したと考えられている秦時代の「馳道」や「直道」、その後の王朝が全国各地や一部地域に軍事情報を収集するために作った軍事用宿泊施設をつなぐ道「驛道」や、雲南省で取れた茶をチベットの馬と交換したことから名付けられた交易路「茶馬古道」、戦国時代、秦の恵王が蜀王を騙して作らせたという「蜀道」といった豊かな文化の彩りを誇る、伝奇的なエピソードを持つ古道がたくさんある。中国の文化遺産である「古道」をいかに保護し、伝えていくか、その中に凝縮された歴史文化の情報を如何に発掘し、後生の人々に伝えていくか?これは中国に課された重要な課題だ。(編集MZ)

 「人民網日本語版」2013年6月26日

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