中国、高学歴の警備員が増加　月給32万円以上も

　大学の本科（４年制）や大学院を卒業した警備員が上海や河南省信陽市で増加している。こうした高学歴の警備員は、普通の警備員よりも離職率が低いという。警備員の初任給は3000元（約4万8千円）程度だが、日々のたゆまぬ努力により1万元（約16万円）稼いでいる警備員もいる。i時代報が報じた。

高学歴の警備員が増加

　江蘇省楊州市の農村出身の川さん（27）は2009年、南京師範大学国際商務本科を卒業した。しかし、就職活動では、幾度とない挫折を経験。親戚や友人の勧めで、警備会社の門をたたき、警備員となった。

　川さんは取材に対して、「ある船の製造工場で火事や窃盗のパトロールをしている。たいへんだが、オフィスで缶詰状態になることもないし、給料もほかの同級生とほぼ同じ約2500元（約4万円）だった」とし、「始めは、就職活動が思い通りに行かないから警備員をやっていたが、1年経つと、後方勤務部の副経理に昇進し、月給も6000元（約9万61千円）以上になった」という。「うちの総経理でも30過ぎ。大学院卒で、末端からコツコツと努力した」。

　上海市の警備会社によると、同市には、川さんのように、本科や大学院を卒業した警備員が多くいる。警備会社の「上海英盾保安服務」の季・総経理助手は取材に対して、「当社の1千人以上の警備員のうち、2-30人は本科卒業以上の2-30歳の若者」と語った。

　一方、上海警備員サービス業界協会の調査・研究によると、現在、同市で警備専門会社で警備員をしている人の数は11万人以上。うち、大専（3年制、短大に相当）以上の学歴を有している人が10%と、2012年に比べて23%増加した。

学歴が高いほど離職率下がる

　ある業界関係者は、「警備員の学歴と離職率は反比例し、学歴が高いほど、離職率が低いという現象を発見した。通常、警備員をして数日すると、向かいのビルで働けば給料が月に2-300元（約3200-4800円）上がることを知り、すぐに転職してしまう。一方、本科や大学院を卒業した人はそんな試練を乗り越えることができる」と指摘。その理由に関して、ある警備会社の責任者、劉さんは、「この業界で成長するという信念を決めている」ことを挙げる。季・総経理助手によると、「会社も高学歴の若者のために、きちっとした成長計画を立て、人材の引き留めに務めている」という。

月収1万元も夢でない

　劉さんは、「現在、本科を卒業した新入社員は普通の会社では一般事務を担当し、月給は2000（約3万21千円）?2500元程度。一方、当社の初任給は3000元以上。当社で働く大学卒の30代社員の中には、ボディーガードをして、月に2万元（約32万円）稼いでいる人もいる」と、高待遇を指摘する。

　取材では、同業界の大手会社の初任給は3000元以上で、好印象で、英語が得意、さらに、一定の安全防護の知識を有する高学歴の警備員なら、1万元を下回らないことが分かった。

　警備員の待遇も出世に伴い向上する。季・総経理助手によると、「警備員から隊長や、区域経理、総監などに昇進すると、月給は1万元を突破する」。

「保防師」の資格を取れば管理職も

　季・総経理助手によると、「5年前、高学歴の警備員は存在しなかった」という。しかし、「上海英盾保安服務」は2010年、上海国際博覧会やF1など、大規模なイベントで警備を担当したといい、「現在の警備員は、ある程度科学技術の要素を含んだ、前途明るい業界。現在、警備員の業界は通報ネットワークシステムや監視カメラを利用したパトロールなど、科学技術を運用している。そのため、警備員には、高い学習能力や防犯知識などが求められ、高学歴を生かすことができる」と指摘している。

　最初のパトロールという任務を忍耐することができれば、高学歴の警備員は早い速度で昇進するようだ。季・総経理助手によると、「当社の高学歴の警備員のほとんどが、2カ月から半年で、隊長に昇進している」。

　上海は、「保衛（防衛）師」の資格試験の受験を推進している。季・総経理助手によると、「高いレベルの保衛師の資質を備えていれば、高級管理職に就くこともできる」という。上海警備員サービス業界協会の統計によると、現在、上海には1-3級（1級が最高）の保衛師が5000人以上おり、そのほとんどが警備会社で管理職を務めている。（編集KN）

　「人民網日本語版」2013年6月25日