サラリーマンを超えた出稼ぎ農民の給料
「自分より出稼ぎ農民の方が、給料が高い!僕もレンガを運ばなくちゃ!」-ネットユーザ「我不是虚構的」さんはこのほど、ある重慶のネットコミュニティに、建築工事現場で働く出稼ぎ農民の「給与明細リスト」をアップした。このリストによると、月給の最高額は1万4千元(約22万1500円)、最低でも5千元(約7万9000円)を上回っていた。出稼ぎ農民の給与額は、ネットユーザ達の予想よりはるかに高く、「サラリーマンにとっては衝撃が大きい」といった感想が続々と寄せられた。一方、「都市化が進むなか、工事現場労働者の人件費が上がるのは当然」と理性的な分析を行う人もいる。重慶商報が報じた。
○出稼ぎ農民の月給、最高1万4千元
ネットユーザ「我不是虚構的」さんがネット上にアップしたリストは、会社の仕事で建築現場に資料集めに出向いた時、偶然拾ったものという。「最低5千元から最高1万4千元まで、出稼ぎ農民の給与明細リストのようだった。これが出稼ぎ農民の給与の実態なのか?サラリーマンより高いじゃないか!」と仰天した彼は、オフィスでゆうゆうと坐っている場合ではなくなったという。彼は、「ネットに書き込みばかりして無駄な時間をつぶし、レンガを黙々と運ぶ出稼ぎ農民を馬鹿にしていた君たち、この給与明細を見た君たちは、レンガを運ぶ勇気があるかい?」と若いネットユーザに呼びかけ、「さあ、どんどんコメントを書け。君たちにレンガを運べるかどうかを判断してやる」と続けた。
これに対し、多くのネットユーザが、「問題のリストは、本当に一カ月分の給与額なのか?」と疑いの声を上げた。この明細を発行した建設プロジェクト「融創嘉?」販売部の易経理は、現場作業員の給与明細であることを認めた。易経理は、「技術系以外の作業員の日当は200元(約3200円)。木工大工、塗装大工、壁面装飾大工など技術作業者の日当は350--400元(約5500円から6400円)で、残業代を加えると1カ月で1万4千元になるのはごく普通のケースだ。技術作業員はここ数年ずっと不足している。確かに作業は大変キツく、労働に見合うだけの給料が出なければ、彼らは、もっとよい条件の施工会社に移っていくだろう」と語った。
○1滴の汗が1分の報酬に
建築工事現場の作業員の給料は軒並み高いのであろうか?調査によると、現場の技術作業員に1万元(約15万8千円)前後の給料を支払っている施工会社は多いようだ。重慶市で某建築プロジェクトを担当する鄭氏は、「給料が比較的低いのは、雑務工で、日当120元(約1900円)ほど。技術作業員は高く、220元(約3500円)を上回る」と語った。鄭氏によると、現場作業員の仕事は、いつも非常に大変という。「忙しい時には、夜が明けないうちから深夜まで、丸一日働き詰めとなる。梅雨に入ると仕事が少なくなり、給料もがくんと減る。」
18日午後3時ごろ、給与明細が落ちていたという渝北区空港新城の工事現場を記者が訪れた。まぶしい陽光が大地に照りつけ、非常な暑さで、すぐに汗が噴き出した。作業員たちは、太陽を背にして、黄土を前に忙しそうに働いていた。同プロジェクト工事部の現場責任者・鄭興氏は、「オフィスで働く一部サラリーマンより高い給料をもらっている作業員は多い。だが、彼らの苦労は、サラリーマンには決して分からない。何もせずに高給をもらっている人などいない」と話した。
現場で働く曾さん(50)の日当は300元(約4700円)という。「16歳から34年間、左官の仕事をしてきた。給料はここ数年、確かにかなり上がっている。しかし、いくら給料が高いとは言っても、この苦しい仕事をしてまでお金を得たいと思う若者はほとんどいない」と曾さんは語った。
○ネットユーザからのコメント
「happymariah」さん:「出稼ぎ農民の仕事のキツさは、普通の仕事とは比べものにならない。技がモノを言う大工などの職種は、一般人が簡単にできる訳がない。技術と仕事のキツさと人材不足によって給料が高くなるのは当たり前の話だ。」
「cqzx0008」さん:「他人の給料が高いとやたら羨ましく思うべきではない。あなたたちがエアコンの効いたオフィスでネット三昧に耽っている時に、彼らは、厳しい日差しが照りつける下で汗を流しながらレンガを運んでいる。あなたたちには、彼らが得ることのできない保険がある。日照り続きでも大雨続きでも給料が出るあなたたちとは違い、彼らは天候次第で収入ゼロになる。それでも敢えて、レンガを運ぶ仕事をやってみようと思いますか?」。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年6月20日