日本人ボランティア:内モンゴルで理学療法士
内モンゴル自治区牙克石市の大学附属病院で理学療法士として活動している佐藤俊之です。
■任地について
私の任地、内モンゴル自治区は東西に長く、面積も日本の3倍近くあります。
私が生活している牙克石市は、首都北京からは1800kmほど離れ、内モンゴル自治区でも東北部に位置しています。夏場は30℃を上回る日もあるものの中国国内では避暑地とされており観光客で賑わっています。しかし、冬場は?40℃以下に達する日も多く外出すると髪の毛や睫毛が凍ってしまうような厳しい寒さが続きます。
■配属先について
私の配属先は大学付属の病院で病床数は1500床程度あり地域の中核となっている総合病院です。リハビリテーションを行っている患者さんは脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患の患者が多く、年齢も30~70歳台までと幅広く、比較的若い患者も見られます。そのほかにも脊髄損傷や骨折などの整形外科疾患の患者もいます。
■活動について
活動においては、説明してもまだまだ言葉がうまく通じないことが多々ありますが、実際に体験することで理解してくれることもあります。例えば、病院には日本のように専門の介護スタッフがいないために、患者の家族が熱心に付き添い介護をしています。介護に対する知識が普及していないため、介護の方法が間違っていることや、一人で起き上がることのできる患者に対しても、家族が過剰に介助していることもよくあります。そんなとき私は、介助の方法を家族に紹介するようにしています。介助者が介助の方法を少し知るだけで患者が楽に起き上がることができるようになったり、車いすの正しい設置位置を伝えることで楽に介助ができるようになったり、患者自身が楽に車いすに乗り移ることができることを体験し、車いすの置き方ひとつにしても重要であると認識してくれます。介助の方法を紹介した後にも日常的に患者自身が家族に介助の方法を注意したり、家族が意識して行っているのを目にするときには伝えたことが無駄ではなかったとやりがいを感じます。
■今後の目標
リハビリテーションは患者の社会復帰を目標として行いますが、そのためには患者のリハビリテーションだけでなく、家族の病気に対する理解や介助の方法の紹介など家族を交えた指導が必要だと感じています。中国では患者と家族の接する時間が日本よりも長い分、患者の社会復帰には家族の支援が欠かせないと感じています。配属先のリハビリ師に対してのリハビリテーションの知識・技術を広めることも重要だと感じていますが、それと同時に家族への指導等を通しリハビリテーションや介護の概念が中国に普及していくことを目指しています。任地に赴任し1年強が経過しましたが、患者の社会復帰のための支援を引き続き行っていきたいと思っています。
23年度3次隊 佐藤 俊之
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「人民網日本語版」2013年9月16日