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日本人ボランティア:繋げる・繋がる日本語教育

 2012年7月から安徽省合肥市で日本語教師をしている杉島夏子です。

 皆さんは、日本語教師の仕事というと、どんな仕事を想像するでしょうか?もちろん、「学生に日本語を教えること」が主な仕事になりますが、私は他にも大切なことがあると思っています。それが「学生を外と繋げる」こと、そして「教師自身が外と繋がる」こと。今回は、私がこれまでの活動で行なってきた「繋げる・繋がる」取り組みをご紹介したいと思います。

 まず、「学生を外と繋げる」ことについてお話します。学習者は毎日教室で授業を受けていますが、それだけではなかなか日本語学習に対するモチベーションが上がりません。とは言っても、日本国内や海外の大都市での日本語教育と違い、学生が自分で日本語を使える場を見つけるというのは、難しいものがあります。そこで、合肥市内の日系企業や、市内の他の教育機関で働く日本人教師などのネットワークを使って、学生にできるだけ日本人と話したり、企業を知ったりする機会を提供できるように心がけています。



 これは、先日合肥の日系企業、合肥日立建機さんの工場を見学させていただいた時の写真です。

 工場見学をした後の質疑応答の時間、就職のことについて、企業のことについてなど、学生たちは日本語でたくさん質問をしていました。また、去年は企業の方々に学校にお越しいただき、講演会をしていただいたり、同じ合肥で働く日本語教師に会話授業に参加していただいたりしました。

 次に「教師が外と繋がる」ということについてご紹介します。中国の大学には、大きく分けて4年制大学の本科と、3年制の専科大学があります。私が活動しているのは専科ですが、これまで専科で日本語を教えてきて、感じたことがあります。それが、学生の学習習慣がない、日本語学習に対するモチベーションが非常に低いということです。そして中国人の先生方も、ほとんどが私と同じように感じていました。でも、専科で教えている先生は全員4年制大学出身。専門も「日本語教育」という人は少なく、自分が教わったやり方で教える先生が多いので、授業作りに困っているという声をよく聞いていました。

 授業を改善するには、自分で考えることも大切ですが、似たような状況でいろんな工夫をしている仲間からアイディアをもらうということも1つの方法です。ですが、これまで専科の先生だけを集めた研修会の機会が一度もありませんでした。

授業中。

 そこで、国際交流基金北京日本文化センターからお二人の日本語教育専門家の先生をお呼びして、合肥市内の専科の先生を対象にした地域巡回日本語教師研修会を開催しました。日本語教育専門家のお2人の先生方には「初級を教える」「教え方を改善する」という内容でご講演していただきました。また、教師の実践報告やグループワークも行ないました。

 「やる気のない学習者のモチベーションを上げるには?」「聴解の指導はどういう工夫が必要?」「会話能力ってどうやったら高まるんだろう?」等、普段それぞれの先生たちが抱えている悩みを共有でき、非常に有意義な時間になったのではないかと思います。この研修会をきっかけに、今後も教師同士が繋がっていくことで、合肥の日本語教育が発展していくことを願ってやみません。

交流。

 私の活動期間も残り8ヶ月を切りました。この学校の協力隊派遣は恐らく私で最後になってしまいます。この残りの活動期間で、微力ではあるものの、いろんな人や機関の助けを借りながら、学習者・教師の繋がりづくりのお手伝いがしていけたらいいなあと思っています。

 「中国の日本人ボランティア」 トップへ

 「人民網日本語版」2013年12月2日

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