法理を顧みず理不尽な発言をする日本高官
中国の李克強総理がポツダムで発表した戦後国際秩序に関する談話について、安倍内閣の菅義偉官房長官は26日「あまりにも歴史を無視した発言で、決して受け入れられない」と公然と言い立てた。続いて29日にも中国の王毅外交部長(外相)の発言に対して「1895年の日清講和条約締結以前から尖閣諸島(中国の釣魚島)はわが国固有の領土だった」と反論。国際法上の根拠として1951年締結のサンフランシスコ講和条約を挙げ、釣魚島は同条約第2条に基づく放棄すべき領土ではなく、第3条に基づく米国の信託統治下におくことに同意した領土だと指摘した。(文:劉江永・本紙特約論説員、清華大学現代国際関係研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
菅氏のこうした発言は、安倍内閣が戦後国際秩序を完全に無視し、中日国交正常化以来の両国関係の政治的・法的基礎を公然と踏みにじっていることを十分に証明するものだ。問題の本質は「中日関係と直接関係する戦後国際秩序は一体カイロ宣言とポツダム宣言を基礎および準則とするのか、それとも日米間のサンフランシスコ講和条約を基礎とするのか?」だ。もし後者だとするのなら、中日間の4つの政治文書を完全に覆し、1972年の中日国交正常化以前の佐藤栄作内閣の誤った立場に戻るに等しい。
だが、日本政府は1945年8月15日に発表した日本の降伏文書で「天皇、日本政府及びその引継ぎ者はポツダム宣言の条項を的確に履行する」ことを明確に受諾したというのが揺るぎない事実である。したがって、日本が戦後遵守しなければならない国際秩序と中日関係の基本原則はカイロ宣言とポツダム宣言であり、サンフランシスコ講和条約では決してないのである。
1943年のカイロ宣言は、日本は中国から盗み取った領土を中国に返還しなければならない、武力または貪欲により強奪したその他の地域から日本は駆逐されなければならないと明確に定めた。1945年のポツダム宣言第8条は、日本はカイロ宣言を遵守しなければならないと定めたうえで、日本の領土は本州、北海道、九州、四国および吾等の決定するその他小島に限られると強調した。