ベネズエラなど3カ国大統領がスノーデン氏の亡命受け入れを表明
--「PRISM」事件の焦点は中南米へ ベネズエラのマドゥロ大統領は現地時間5日、「国家元首および政府首脳として、米国の若者・スノーデン氏の亡命を人道的観点から認めることを決定した」と表明した。ニカラグアのオルテガ大統領も同日、スノーデン氏の亡命を受け入れたいと表明。ボリビアのモラレス大統領も、スノーデン氏が亡命を申請すれば、認める考えを表明した。
3カ国大統領の姿勢表明によって、米国家安全保障局(NSA)元職員で「PRISM」事件を暴露したスノーデン氏の前途は転機を迎え、世界の注目は中南米へと移った。これについてロシア側は「最良の解決策だ」としたが、米国は姿勢表明を拒否している。
中国社会科学院ラテンアメリカ研究所の孫洪波研究員は「中南米は『PRISM』事件の傍観者ではない。ベネズエラやニカラグアがスノーデン氏の政治亡命申請を受け入れる意向であるのには、主に2つの考えがある。第1に、米国との外交的駆引きのカードを増やし、中南米左派の離米、反米姿勢を継続することができる。第2に、『PRISM』事件への積極的介入によって、国際的な注目度と影響力を高められるうえ、より重要なこととして『PRISM』事件の引き起こした米国と他の大国との政治的力比べに参加することで、米国に対する勢力均衡、制約を図ることができる」と指摘した。
ベネズエラやニカラグアがスノーデン氏の政治亡命申請を受け入れることで、米国は中南米諸国との関係が一層複雑化し、外交面で一層受け身にならざるを得なくなるだろう。米国と中南米左派との関係は一貫して冷たく、緊張したものだった。オバマ大統領は2期目に中南米との関係改善を試みているが、財政力不足なうえ景気回復も力を欠き、対中南米外交で新局面を切り開くのは難しい。
「PRISM」事件の今後の推移は依然予測困難であり、米国・中南米関係への影響にも不確定性が存在する。だが中南米での米国のイメージが大きく傷ついたことに疑いの余地はなく、米国が情報収集のために個人情報を監視していたことに中南米の政治指導者も民衆も間違いなく不満を抱いている。特にフランス、イタリア、ポルトガルなど欧州各国がスノーデン事件を理由にボリビアのモラレス大統領の乗る専用機の領空通過を拒否したことは、双方間に外交危機を招いた。この背後に米国の存在があることは間違いない。ボリビアはアルゼンチン、エクアドル、スリナム、ニカラグアなどから強力な支持を得た。中南米諸国が一致団結して米国の覇権行為を排除した場合、米国にとって新たな外交圧力となるのは間違いない。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月7日