李稲葵氏「世界は中国経済を読み誤っている」
第3回世界シンクタンクサミットが29日、「新たな構造、新たな協力、新たな発展」をテーマに北京で開かれた。清華大学金融学部の李稲葵主任はフォーラムで「世界は中国経済を読み誤っている」と指摘した。
李氏は「ここ半年余り、ウォール街を中心に国際投資家は中国経済は現在の世界経済における重大なリスクエリアだと言い続け、最大のリスクだとすら言っている。世界金融危機の発生から現在までに、中国経済の信用残高と債務残高の合計がGDP比で100%から200%へと倍増しているため、デレバレッジの過程に入るのは必至で、この過程は経済・社会に動揺または衝撃を与え、成長が減速するというのがその理由だ。これはロジックは大変明晰だが、正しくない」と指摘。世界が中国経済を読み誤っている理由として、次の3つを挙げた。
(1)世界金融危機の発生以来の世界の基本的趨勢はこうだ。世界の各主要国はいずれも政府債務の拡大、中央銀行のバランスシートの拡大という方法で金融危機に対処している。中央銀行と政府の債務と民間の債務を合わせるのなら、主要国の債務水準は減少せず、上昇している。中国経済はこの趨勢に合致している。現在の世界経済の大きな潮流の中で、この趨勢に合致せず、その経済が逆方向に動いている国があるのなら、かえって問題が生じる。
(2)中国経済自体の理由。中国経済の成長軸は現在も大変はっきりしている。成長軸は都市建設、地下パイプ網建設、大気汚染対策、水の処理等々を含む準公共財にあり、こうした準公共財はいずれも投資を必要としている。このため中国経済は今後一定期間も、一定の成長速度の空間と潜在力を維持する。
(3)恐らく最も重要な理由だが、中国の経済・金融システムには確かに国有銀行の貸付の増加幅が大きすぎるといったいくつかの問題が生じている。一連の改革をすぐに始動し、改革を通じてこうした問題を解決し、不良債権を取り除き、不良債権が正常な資金の流動に影響を与えないようにすると同時に、地方財政も再編を始動し、比較的確かな、持続可能な新税源を見いださなければならない。これと同時に、民営経済の大規模な規制緩和を行なわなければならない。7月からすぐに国レベルの一連の討論会が開かれ、今年後半の経済政策について議論されるはずだ。8月、9月、10月にも改革が議論される。つまり中国経済は改革の制度変更の新たな四半期に入る。7月、8月、9月、さらに第4四半期の10月まで続ける必要があるかもしれない。一連の改革の動きとシグナルが出て、その時には中国経済に対する世界の解釈は多少変わるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年6月30日