中日の経済貿易関係への釣魚島係争の影響
「週刊!深読み『ニッポン』」第45回「週刊!深読み『ニッポン』」
世界第2、第3の経済大国である中日両国は経済・貿易面の往来が活発で、経済関係を深め続けている。すでに中国は日本にとって最大の貿易パートナーだし、日本も中国にとって第4の貿易パートナーだ。中日両国の貿易の紐帯は強靱で、中日関係が冷え込んだ2005年でさえ、相互貿易額は前年比12.7%増加し、日本の対中投資も19.8%増加した。だが、今回の釣魚島(日本名・尖閣諸島)領有権係争は2005年とは状況が異なり、相互貿易額の大幅な減少を直接もたらし、中日関係を「政冷経熱」という通常の状態から「政冷経冷」へと変え始めている。相互依存、相互均衡という中日両国の経済貿易関係に重大な転換が生じ、貿易、投資両面で従来と比べ大きな変化が生じた。(文:倪月菊・中国社会科学院世界経済と政治研究所研究員)
貿易を見ると相互貿易はマイナス成長、しかも持続的悪化という趨勢を呈している。日本財務省の統計によると、2012年の中日貿易額は前年比3.3%減少した。このうち日本の対中輸出は10.4%減少。輸入はプラス成長を維持したものの、3%の伸びに過ぎず、これまでの二ケタ成長は終わりを告げた。日本の対中貿易赤字は168億ドル近くに達し、輸出赤字全体の86%を占めた。対中貿易が日本の貿易総額に占める割合は0.9%減少した。このうち輸出は1.6ポイント、輸入は0.2ポイント減少した。2013年に入ると、中日貿易は好転するどころか、逆に悪化し続けた。2013年1-5月の状況を見ると、対中輸出は13.3%減少し、輸入もプラス成長から3.3%のマイナス成長に転じた。
日本経済は主に輸出が牽引しており、日本企業にとって中国市場は重要な黒字計上源だ。韓国、中国の台湾、中国の香港などの市場にいったん輸出した後、中国大陸部に再輸出される部分も相当のものだ。輸出減少が日本経済に与える影響は想像に難くない。また、対日輸出の減少が中国に与える影響も過小評価すべきでない。中国の輸出する完成品の中で、日本は鍵を握る中間投入品と生産設備の主要供給者としての地位にあり、中国の電子産業、自動車産業にコア部品を提供している。日本の対中輸出の減少が中国の自動車産業、電子産業の輸出に比較的大きなマイナス影響をもたらすことは間違いない。