福田康夫元首相「手を携え、肩を並べてアジアの発展を促すべき」 (2)
福田氏:EUの状況を例に説明したい。EUは27カ国で構成され、大部分の加盟国間でユーロを使用している。だがEU諸国は依然多くの困難に直面している。EU加盟国間は団結と協力の条件が整っている一方で、依然様々な問題にも直面しうる。われわれアジア各国・地域は言語、宗教、民族が異なる。異なる背景を持つアジア各国・地域は協力を通じてのみ各自の役割を発揮し、国際競争に対処することができる。したがって、協力を通じた共同発展をいかにして実現するかについて検討しなければならない。先週、中日韓自由貿易協定(FTA)の初交渉が行われた。3カ国が未来志向でFTAの検討に着手するのは、良い契機だ。1つの国の力は限られている。協力を通じてより多面的な発展を促すことができる。協力過程では様々な意見や問題に直面する可能性がある。だがこうした問題は克服しなければならない。
記者:最近、アジア太平洋地域では2つの言葉が非常にブームになっている。1つは「中国の夢」、もう1つはアジアの復興だ。福田氏は中国の演じる役割や果たす役割をどう評価するか。
福田氏:中国の経済規模は日に日に拡大すると私は信じているが、規模だけでなく質にも目を向けなければならない。例えば中国で注目されている問題の1つである環境保護問題は、発展の中身を変えることを要求している。いかにしてエネルギー消費モデルを改変し、エネルギー消費を引き下げるか。これらには革新が必要だ。中日双方は以前これについて協力を行った。
経済規模の面では、中国はアジアに占める比重が大きく、アジア地域全体に対する影響も大きい。今後、中国がアジア各国・地域に対してどのような責任を担うかに私は注目している。例えば中国が生産方式またはライフスタイルの改変を通じてエネルギー効率を高めれば、世界のエネルギー消費量にとって福音となる。また例えば、ライフスタイルの面では、食物を浪費しなければ、世界的規模の食糧不足の緩和にプラスとなる。中国は大国であり、一挙一動が世界に大きな影響をもたらす。