消えゆく日本のスポーツカー (3)
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だが現在の自動車はどんどんスマート化、ハイレベル化、高級化しており、科学技術と環境保護理念で武装した結果、どんどん強く、快適に、運転しやすくなる一方で、どんどん冷たくなり、個性がなくなり、欠点も長所も曖昧になってきている。
86について言えば、早期のAE86は実は庶民向けの車だった。後輪駆動に極めて軽量の車体、シンプルで直接的なシャシー。全てが当時ありふれたものだったが、まさにこうした後輪駆動(当時日本では確かに何でもなかった)、軽量、直接的シャシー、安価、そして高いチューニング性に漫画『頭文字D』の効果が加わり、AE86はスター車種となった。われわれは86から、楽しみがどれほど身近で、直接的で、飾らないものであるかを知った。これはトヨタの予想さえも超えたものだった。