中日書店事情 ネットに押されるリアル書店、その行く末は?
中国メディアが見る日本 中国両国では近年、ネットメディアや電子書籍の広まりを背景に、紙媒体の出版物の販売が落ち込み、リアル書店が深刻な生存の危機と重圧にさらされている。「羊城晩報」と「中国ラジオ網」が伝えた。
■水増しされた定価の影に潜む商機
「2012年全国図書市場調査研究報告」によると、中国の新刊書の平均価格は52.23元(約840円)に達し、初めて50元の大台を突破した。また、新刊書の価格が高まるのはリアル書店にとって、よくない知らせだという。
日本では書店数が急激に減少しており、2000年から2010年の10年間で、ほぼ3割に当たる6000軒が姿を消した。東京新宿のような繁華街でも、三越百貨店のメインビルに入っていたジュンク堂新宿店が撤退した。ジュンク堂は日本で最も古い書店であり、選書や推薦書における独特のセンスを持つことで知られている。しかし、ネットの発展に加え、大手出版社が力を入れている「売れる商品」を出版する際に書店も事前に宣伝広告費を投入しなければならなかったり、書店と出版社が一緒に協力してベストセラーを作り出したりという風潮に伴って、リアル書店で販売される書籍の定価はますます高くなっている。
あるベテラン編集者によると、「実際に購入する書籍の価格は、定価よりもずっと安い。現在、各出版社の書籍の定価は否応なく水増しされたもので、値下げ競争を展開するオンライン書店に、利益を挙げる隙を与えている」と分析する。
■オンライン書店の値下げでリアル書店が生存の危機に
中国の大手オンライン書店を見ていて気付いたのは、あらゆる書籍に対し値引きキャンペーンが行われている点だ。中国の大手オンライン書店「当当網」の公式サイトのトップページでは、80%近い書籍が40%から50%引きの価格で手に入る。例えば、ベストセラーの新刊でも30%前後の値引きで販売されている。オンライン書店間の値引きキャンペーンによる顧客集めは、リアル書店に対して強力な締め出し効果を発揮している。