日系車は危機を脱して安定に移行できるか? (2)
だが最近のロイター社の報道をみると、トヨタは今、中国業務の重心を日本に対する国民感情が比較的穏やかな南方エリアに移すことを検討中という。またブルームバーグ社の報道によると、日系自動車メーカーは中国市場に対する依存度を引き下げ、投資先をより急速に成長する新興市場に、たとえはインドネシア、ブラジル、インド、ミャンマーなどに振り向ける可能性があるという。トヨタはすでに天津市と広州市の新工場建設計画を延期しているとの情報もある。いずれも年間生産能力が20万台の工場だ。
日系車は中国市場でどんな未来へ向かうのだろうか。ある業界関係者によると、日系車の未来は次の3点を踏まえて考えることができるという。
第一に、日系自動車のグローバル配置の中で中国が占める割合は大きくないという点だ。2012年に日系7大メーカーの世界販売台数は2340万台で、このうち中国は254万台だ。輸入車を含めても、日系車の中国シェアは11%ほどに過ぎない。ドイツの三大メーカー(フォルクスワーゲン・アウディグループ、BMW、ベンツ)の世界販売台数は1200万台あまりで、中国が285万台と24%を占める。米国車のビッグ2をみると、ゼネラルモーターズ(GM)の世界販売台数は928万台で中国は30%の283万台、フォードは世界が566万台で中国は11%の62万台だ。韓国車は世界が712万台で中国は18%の133万台となっている。ここからわかることは、日系車は中国に最も多くのメーカーが進出し、製品のラインナップを充実させていながら、販売台数全体に占める割合は11%にとどまっており、日系メーカーが長年にわたり中国市場に対するリスク意識を抱いてきた可能性があるということだ。
第二に、日本の自動車産業の競争力は高く、伝統的なエンジンの分野ではドイツ車は米国車の進歩の速さに及ばないが、新エネルギー自動車の分野ではトップの地位を維持しているということだ。日系車の販売がこのたび中国で打撃を受けたことは、日本政府がすべての原因だ。昨年8月から9月にかけて日本に対する国民感情がピークを迎えた後、日本の自動車、デジタル製品(ノートパソコンとカメラ)、家電製品は全面的に売り上げが落ち込んだが、今年5月には自動車もデジタル製品もともに回復傾向に向かい増加に転じた。こうした動きは、日本製品のブランドの認知度が影響を受けなかったこと、特に日本のデジタルカメラ(一眼レフカメラ)は切り替えがきかない存在であることを物語るものだ。日本の家電産業の衰退はここ10年ほどのことであり、中日関係とは関係がない。このため家電大手の棚から日系製品が下ろされ、日系メーカーが撤退するとの情報が伝わっても、日系車に波及することはなかった。