動き出す上海自由貿易区 香港は安泰か (2)
上海と香港の競争について楽観的な見方をする人は、両地の違いを強調する。香港と上海の役割分担ははっきりしており、同区は主に大陸部に向いており、香港は主に海外に向いているという。こうした考えに基づく見方について、招商証券マクロ経済研究部門の謝亜軒主管は、資本の流動はいつでも利益を追いかけ、損害を避ける動きをするもので、稼げるところがあればそちらに流れていく。役割分担に基づいて動くかどうかを言うことは難しい、と指摘する。
また謝主管は、中央政府は香港の長期的な安定と繁栄をことのほか重視しており、上海自由貿易区の発展は香港のお株を奪うことではないと強調する。白研究員も次のような見方を示す。中央政府は香港を「ほったらかし」にするような態度を取ることはない。一歩下がって考えれば、香港経済が真に影響を受けるなら、中央政府は必ず対応策を練ることになる。
(2)実力を踏まえて考える
実際、香港が「鍛錬」を重ねていることこそが競争相手に対する重要な防御力になる。謝主管によると、香港の最大の強みは整った法制度にある。たとえば研究でわかったことは、高度に発達した金融市場は主にシンガポール、英国、香港などの英国や米国の法制度に則った国や地域に分布している。英米の法制度は判例に基づく法制度であり、契約の保護や私有財産の保護をめぐる法律が比較的整っている。この点は競争相手が学ぼうと思ってもすぐに学べるものではないという。
ある国際的プライベートバンクの上級管理職は、香港の監督管理の環境を高く評価し、次のように話す。香港市場の監督管理は厳格で着実に実施されている。株式市場を例に取ると、人為的な操作は避けられないものだが、厳格な監督管理によって市場の透明性は高まり、人為的操作が行われる可能性は大幅に低下している。香港株式市場では、自身のプロフェッショナルとしての判断や企業への理解に基づいて利益を上げることができる。逆に監督管理の行き届かない所では、人為的な要素が多く、利益を上げるには内部情報によるしかない。こんな市場には行こうと思わない。