人民元の対ドル相場が「5時代」に接近 元高が輸出の足かせに (2)
■元上昇が輸出企業の利潤をむしばむ
人民元の上昇加速の影響は中国輸出企業にも波及している。外需の回復が明らかでなく、受注状況も好転しない中、人民元の立て続けの上昇は「泣き面に蜂」で、一段と利潤が圧迫されているとする輸出企業が少なくない。ある小型家電企業の担当者は「今年人民元の上げ幅はすでに2%に達している。家電、電子業界の利潤率は通常4-5%前後で、利潤の半分以上がすでにむしばまれている」と語った。
珠江デルタの中小貿易企業100社余りを対象に行われた最近の調査では、為替相場変動のために注文を断った企業は20.09%に上った。また、人民元上昇が輸出に影響を与える最重要要素の1つになっているとする経営者は78.63%に上った。
輸出企業をさらに苦しめているのは、人民元が上昇し続ける一方で、新興国や日韓の通貨が大幅に下落し、企業の輸出競争力にとって二重の打撃となっていることだ。「われわれの主要競争相手は日本車と韓国車だ。円とウォンが下落すれば、彼らは値下げの余地が広がり、われわれの競争力は低下する。これに人民元の上昇が加わり、われわれは価格を多少上げることになる。今年の競争圧力は去年より強まっている」と長城汽車の担当者は語った。
税関の統計によると、中国の輸出は2か月連続の増加後、9月に0.3%減少した。これは不利な国際通貨環境が主因で、元高が輸出の足かせとなっていることは注視に値する。