――少子高齢化問題は社会保障システムに対する影響が大きい。少子高齢化の進行に伴い、近年日本の財政は年金、医療など社会保障費が年1兆円のスピードで膨れ上がり続け、財政負担が年々累積することで、国債規模が過去最大を更新し続けている。昨年8月には国の債務残高が日本の経済規模の2倍以上に相当する1000兆円を初めて超えた。高齢化は日本にとって致命的な一撃となるか?
袁剛明氏:少子化は高齢化と直接関係する。出生が減少すれば高齢者の割合が高くなるからだ。これによって若者が扶養しなければならない高齢者も多くなる。私は日本で高齢者が街頭デモ行進しているのを直に見た。定年退職政策が実行されないうえ、高齢者の医療費はかさむため、日本政府の高齢者に対する医療保険金給付または医療補助金は少ない。日本にとって高齢社会はすでに重大な社会問題となっているうえ、解決困難で、深刻化する一方だ。人口全体に対してだけでなく、社会全体および政治、経済にも深い影響が出ているうえ、まだ出口を見いだせずにいる。これがわれわれの言う、少子化がもたらす高齢化問題だ。
――実際の統計を見ると、日本社会の少子高齢化は依然、徐々に進行している。これについて専門家からは「日本政府の打ち出した措置が少子高齢化問題の解決においていくらか成果を上げるかどうかは短期間では判断するのが難しいが、唯一確かなのは、こうした措置がなければ状況は現在よりももっとひどくなるということだ」との指摘がある。これをどう見るか?高齢化は社会発展の必然的な段階か?
袁剛明氏:そうとは限らない。日本の政策または社会・文化全体と深い関係があり、日本は少子化を早くから認識しているが、政策が厳しくなるほど、少子化はひどくなっている。出産する女性への手当、支援といった簡単な政策措置では効果がないからだ。だがもっと深い原因は、例えば若者が結婚や出産を望まないことだ。女性が出産を望まないのは、出産すれば社会から退くに等しいからだ。だが日本の女性は独立意識が強く、かつては『男は外、女は内』という良妻賢母の考え方が根深かったが、現在は反対に多くの女性が子どもを産まず、重要な科学者、学者、あるいは政治家になっている。だから日本では出産を望まない社会・文化問題が深刻なのだ。