「西側の番だ」。これは英誌エコノミスト新年特別号のある記事の見出しだ。記事は今年、米日英独4カ国が世界のGDPに対する寄与度で中国、インド、ロシア、ブラジルというBRICS4カ国を抜き、世界経済のエンジンを担うようになるとした。(文:丁剛・人民日報上級編集者。人民日報海外版コラム「望海楼」)
昨年、新興国経済の脆弱性は西側の自信復活を浮き彫りにした。だがこれを世界権力のシフトの停止、逆転と見なすのは余りにも近視眼的だ。BRICSの経済寄与度が先進国を抜いたのはここ数年の事に過ぎないのだから。
両経済体間の成長速度の転換がより示しているものは世界権力のシフト過程の複雑性であり、新興国の経済モデル転換および関連するガバナンスレベルの改革推進の緊迫性も示している。
近年、世界権力のシフトは複雑な様相を呈している。権力のシフトはバトンのようにいくつかの大国から渡されるものではなく、より均衡的、分散的に変化するものだ。新興大国の復興、中小新興国の集団台頭、ASEANなど地域協力組織の活発化、およびG20など国際組織の役割の強化は、いずれも権力分配に影響を与える要因だ。全体的趨勢から見ると、権力「移動」の方向は西から東だ。世界の舞台の中央を長年占拠してきた西側の大国の身辺で、中国など新興大国の活発な影が現れ始めている。