中国経済の成長 新たな原動力が必要 (2)
福建省寧徳市は海に面し、山を背負っている。特殊な地理的条件により、この沿海都市は最も早く実施された沿海開発のチャンスを逃した。同市の経済発展指標は全省で最下位となり、中国東部沿海の「黄金断裂ベルト」と称された。2009年に温福(温州-福州)鉄道が開通すると、同市は発展のチャンスをつかんだ。経済的に立ち遅れた地域は、次のようなコースの選択を迫られている。つまり、発達した地域から淘汰された生産能力を引き継ぐか、それとも後発者の強みを活かし高品質の発展を目指すか、という選択だ。
十八大代表、寧徳市委員会書記の廖暁軍氏は、「当時の寧徳市は貧困からの早期脱却、プロジェクト受注の必要性に直面していたが、『金山や銀山も必要だが、それ以上に緑色の水と青い山が必要だ』という基準に従い、環境資源を犠牲にする発展の道を絶対に歩もうとしなかった」と語った。
実際に、政府の経済発展方式に対する描写は、2006年年末の時点ですでに変化していた。同年の中央経済工作会議で、政府の経済発展目標は「より速く、より良く」という長年の習慣を変え、「より良く、より速く」に変更した。
「良く」と「速く」の順序が変わっただけだが、地方政府の関係者も専門家も、政府の動向の変化を読み取っていた。中国経済はそれまでのGDP成長率ばかりを求める方式を変化させ、構造調整により高効率・高品質の発展方式を目指す必要が生じたのだ。