加藤嘉一氏はなぜ中国で学歴を詐称したのか
事件:加藤嘉一氏、「東大合格はウソ」
北京大の立場:加藤嘉一氏の経歴詐称 北京大学「卒業資格には影響しない」
日本で「『中国で一番有名な日本人』加藤嘉一氏に経歴詐称疑惑」との記事が発表され、加藤氏の自称「東大に合格した」は事実でなく、同時にその他の疑問点が列挙された。加藤氏は先月31日、自身の日本語ブログで「東大に合格したことはない」と認め、謝罪した。彼の中国語ブログ、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」は静まりかえっている。深セン紙「深セン晩報」が伝えた。
加藤嘉一氏は2003年に訪中し、すでに9年を迎える。これまで彼の経歴詐称をなぜ中国人が見抜けなかったのか?日本メディアによる暴露を待つよりなかった。これは、集団で合議を行う場合に不合理または危険な意思決定を容認してしまう「集団思考」に中国人が容易に陥りやすいことと関連がある。加藤嘉一氏は誰もが認めるアイドルであり、彼の経歴はすでに誰かが確認した、と皆が信じていた。有名人のオーラに、個人の疑念や経歴を調べようとする考えはかき消されていた。
こうした「集団思考」により、現在の中国社会では詐称行為がまかり通っている。北京化工大学の陸俊・当時教授による学術論文の盗用と経歴詐称、厦門(アモイ)大学の傳瑾・当時教授による学歴証書の偽造、浙江大学の賀海波・当時准教授による論文剽窃(ひょうせつ)などが次々と明るみに出た。しかし3人はいずれも、職を追われることはあっても、法的責任は追及されず、公衆に見捨てられることも、世論から存在を抹殺されることもなかった。極めて低い代価で名誉・地位・金銭を取り戻すことができるのなら、「少しくらいのリスクを犯しても」と考えても不思議はない。
加藤嘉一氏の詐称は、公衆に対し、社会エリートも聖人君子ではないことを改めて認識させた。彼らも私利のために、不法な手段を講じることがある。本来、社会公衆は著名人の道徳と信用に対し、一般人よりも高い要求を抱くため、彼らが時に一般人と同様と知ったとき、失望に陥る。詐称行為を今後防ぐためには、公開・透明な監督メカニズムを構築するほか、公衆が「集団思考」に容易に陥ってしまう根本的原因を考えることも必要だろう。(編集HT)
*センは「土へん」に「川」
「人民網日本語版」2012年11月5日