日本の「空気」文化 独特な社会を形成:宋文洲
筆者は日本で創業・上場を実現し、日本で20数年間暮らしている。妻は日本人で、仲の良い友人の多くが日本人だ。まず言えることは、日本人は我々中国人と同様、暮らしを愛し、家庭を愛し、大自然を愛する、血の通った普通の人間だということだ。
しかし日本に長く暮らしていると、一つの奇妙なものが日本人を動かしていることに気づくようになった。それは知らぬ間に形成される、集団で同一性を求める心理だ。このような心理は、どこかの組織により無理やり形成されるのではなく、英雄的人物によって形成されるわけでもない。これは共鳴に似ているが、強い拘束力と集団心理のプレッシャーが存在する。日本人はこれを「空気」と呼ぶ。
この「空気」がいつ形成されるのかは、日本人にとってもよくわからない問題だ。過去の戦争を振り返ってみよう。日本は社会改革を実現し工業国となると、日清戦争により自国の実力と清朝の弱さを証明した。これにより「日本は優れており、中国は弱い」という空気が形成された。
日本は中国から獲得した巨額の賠償金により、鉄道を建設し、教育を推進し、現代化のペースを加速した。善良な一般人はこれが「不義の財」であることを知っていたはずだが、国全体で軍国主義の空気が形成された。時代に乗り遅れれば侮られ、弱ければ侵略される。そして最終的に、このような空気がすべてを支配した。
真珠湾奇襲の山本五十六司令官はハーバード大学の留学経験があり、米国の実力を熟知していた。彼は天皇や軍部に対して、一時的な勝利は収められるが、最終的な勝利を手にすることは不可能だと語った。正常な民族であれば、開戦を避けるか、早めに撤退して講和を求めたはずだ。多くの日本人もそれを知っていたが、口にすることができなかった。平和的な協議を主張していた犬養毅首相でさえ、売国奴として士官に暗殺されたのだから、それも無理はない。