中国の所得格差拡大は減速 縮小への転換点を前に
北京師範大学労働力市場研究センターはこのほど「中国労働力市場報告2012」を発表した。報告は「中国の所得格差は依然拡大しているが、拡大の勢いは減速しており、所得格差は縮小への転換点を迎えようとしている」と指摘。「都市部と農村部の所得比係数は2009年の3.33から2010年には3.23、そして2011年には3.13と2年連続で下がった。中国の所得格差の約半分は都市部と農村部の格差によるものであり、都市部と農村部の格差の動きが所得格差全体の変動に決定的作用を果たしている」としている。
所得格差が縮小への転換点を迎えようとしている証拠として、ほかに都市部と農村部の中低所得層の所得の伸びが高所得層を上回っていることが挙げられる。2010年の都市部住民の低所得層、比較的低所得層、中所得層、比較的高所得層、高所得層の1人当たり可処分所得は05年比でそれぞれ89.3%、89.3%、87.4%、84%、79.7%増加した。2010年の農村部住民の低所得層、中低所得層、中等所得層、中高所得層、高所得層の1人当たり純収入は09年比でそれぞれ20.69%、16.43%、15.98%、15.04%、14.05%増加した。これは都市内部と農村内部で所得格差が縮小していることを意味する。
報告は「今後一時期、高所得層と低所得層の所得の絶対的格差はまだ拡大する可能性があるが、相対的所得格差の縮小傾向が続きさえすれば、所得全体の不平等さは改善される」と予測。
「所得格差縮小の1つの重要な原因は、労働者の教育水準がおしなべて向上し、学歴の異なる労働者間の所得格差が縮小しているからだ。中・高等教育の一層の普及に伴い、所得格差の縮小に対する教育のポジティブな効果が一段と顕在化する」としている。
統計によると、1999年に高等教育の募集学生数を増やし始めて以来、就業人口中、高等教育を受けた労働力の割合は2000年の4.66%から2010年には10.05%に増加した。北京師範大学労働力市場研究センターの頼徳勝主任は「高等教育の急速な拡大によって、すでに巨大な人的資本が蓄積されている。これは中国にとって試練だが、それ以上にチャンスだ。労働力市場はより深く、全面的な変革を行って、大学卒業生がより適切な職につき、教育が経済により大きなプラス効果をもたらすようにしなければならない」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2012年11月18日