春運経済学 切符の需給・公平のバランスを取る (2)
切符の価格が引き上げられたところで、春運の需要が減るとは限らない。供給について見ていくと、中国の鉄道建設は近年画期的な進展を実現している。特に高速鉄道の運行距離の延長は輸送力不足を緩和したが、激増する輸送力の需要を満たせていない。切符の価格は輸送コストを大きく下回っている。列車は実際には公共品としての役割を果たしている。鉄道部門を理性的な経営者とするならば、その乗客輸送サービスは利益よりも損失の方が大きいと言える。春運のサービス提供は政治的任務となっており、価格引き上げによる利益増を通じて供給増を目指す手段は実行性を持たない。また春運は短期的に需要が爆発する現象だが、この一部の需要を満たすために供給を大幅に増加したならば、平時に資源が著しく浪費されることになるだろう。
効率・公平は昔から取り沙汰されてきた問題だ。春運の列車切符はそもそも効率の問題であり、価格という信号により供給を調整するべきだ。しかし伝統的な文化、都市・農村部の二元構造により巨大な輸送需要が生まれており、需要が価格によって左右されにくくなっている。また列車の切符は公共品に準じるため、価格が供給量によって左右されることもない。市場から離れ切符の乱れた現象を解決しようとする方法は、本来ならば効率向上の問題であったのを、公平の保証という問題にすり変えてしまっている。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年1月25日