日本経済はさまざまな目標を掲げるが達成は困難
日本では安倍晋三首相が率いる自由民主党と公明党とからなる与党連合が、このたびの参議院議員選挙で多数の議席を獲得した。このことは、日本の政界で「ねじれ国会」の時代が幕を閉じたことを意味する。安倍首相はこれから長期政権を実現したいとしており、カギを握るのはなんといっても経済の再生だ。
周知のように、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の1本目の矢と2本目の矢は財政政策と金融政策であり、すでに短期的な効果を上げている。だがその効果が薄らぎ、消費税が引き上げられれば、2014年の第2四半期(4-6月)前後に日本経済は大幅にペースを落とし、15年の経済情勢は楽観できないものとなる。
経済復興の勢いを保つため、安倍首相が取り組む経済分野の最初の任務は、民間投資を喚起する成長戦略という3本目の矢を放つことだ。だがこの矢の内容はひどく散漫で、具体的な措置は250項目に及び、ポイントが絞られておらず、効果を上げるのは難しいとみられる。日本経済に存在する数多くの長期的で構造的な問題を解決すること、たとえば人口高齢化の問題といった安倍首相が今直面する手強い問題を解決できるかどうかはわからない。
第一に、消費財引き上げを予定通りに行えるかどうかが、安倍首相の直面する第一の難問だ。参院選前、安倍首相は計画に基づき14年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げ、財政を再建するとはっきり約束した。だが選挙が終わると、第2四半期の経済成長データを踏まえて最終的に判断するとトーンを変えた。予定通りに消費税が引き上げられれば、個人消費が冷え込み、経済再生が途中で挫折するリスクがある。予定通りに消費税が引き上げられなければ、政府への信頼と日本市場への信頼が地に落ち、壊滅的な結果を招く可能性がある。