模倣とイノベーション不足 日本経済の敗因に
安倍晋三首相は就任後に新たな経済政策を実施し、日本経済に回復の兆しが見えてきた。しかし最近の日経平均株価の暴落はアベノミクスに対して、「蜜月期が終了したのでは?」と問いかけている。アベノミクスには、「機動的な財政政策」、「金融緩和」、「民間投資の刺激」の三本の矢がある。安倍首相はこの三本の矢を支柱とするアベノミクスで日本を救おうとしているが、筆者から見れば、これは何の勝算もない危険な賭けである。環球時報が伝えた。
いわゆる「機動的な財政政策」とは、財政引き締めのことだ。悪化を続ける欧州債務危機が人々の注目を引きつけているが、日本の財政の悪化も、欧州に劣るものではない。立候補者の誰もがこの「腫れ物」を極力隠蔽し、世論の支持を勝ち取ろうとしている。安倍首相がまさにそうだった。そのため、安倍首相は就任後すぐに、財政拡大の姿勢を示した。しかし安倍首相は内心でそのことをよく分かっているため、先に財政を拡張してから再び引き締める、偽りの拡張と真の引き締めによる経済戦略を「機動的」と呼んでいるのだ。
いわゆる「金融緩和」も、紙幣を多く刷るだけに過ぎない。日本経済の問題は泥沼のデフレだが、安倍首相は意図的な物価上昇によりデフレの流れを覆そうとしている。デフレは通貨に関する現象であるが、その本質は通貨そのものになく、経済成長の原動力の不在にある。安倍首相は、このことを知らないかもしれない。原動力をとっくに失っている日本経済にとって、金融緩和は表面的な対策に過ぎず、根本的な解決策にはならない。
いわゆる「民間投資の刺激」は、民間投資の刺激を柱とする経済産業成長戦略により、技術および雇用関連の投資を拡大し、日本の産業を振興させる計画だ。これはなるほど実務的な「矢」と言える。古い経済大国である日本は、少なくとも民間投資の重要性に気づいたようだ。経済発展を促すイノベーションと科学技術の進歩は、民間投資に秘められている。
科学技術のイノベーションは、経済発展の原動力の源泉だ。これは先進国の経済発展によって裏付けられている。ところがそれは、日本経済にとって不足している要素だ。科学技術はかつて、戦後経済の発展に大きな推進力をもたらした。しかし日本の科学技術は模倣に成功しただけであり、自国の科学技術イノベーション能力を形成していない。科学技術の模倣があれほどの成功を収めたのは、西側諸国の強国が戦後、長い科学技術の「停滞期」に入ったからだ。