嫦娥3号の月面着陸、最後の数メートルが最も危険=米専門家
米NASA月探査分析チームのメンバー、ジョンズ・ホプキンス大学の科学者であるジェフ・プレシア氏は、このほど記者の取材に応じた際に、「月探査機『嫦娥3号』は障害物を回避する能力があるため、岩などの大きな障害物をすべて回避できるはずだ。米国の月探査機『サーヴェイヤー』の着陸は、盲目的な着陸であったことを忘れてはならない」と語った。新華社が伝えた。
プレシア氏によると、サーヴェイヤーの月面着陸は、事前に設定した着地順序に従うだけで、後は運任せだったという。サーヴェイヤーは月面着陸の途中で2回失敗したが、その他の5回はすべて安全に着陸した。
ソ連の月探査機「ルナ」も、月面着陸に数回失敗している。プレシア氏は、「2009年に発射された、米国の月探査機『ルナ・リコネイサンス・オービター(LRO)』が撮影した画像の中に、ルナ23号が写し出されていた。ルナ23号は着陸の際に速度が速すぎて、地面を転がり失敗に終わったようだ。そのため写真に写し出されていたのは、横転したルナ23号の片側だけだ」と例を挙げて説明した。
プレシア氏は、「サーヴェイヤーにせよアポロにせよ、米国の探査機は水平に着陸しておらず、傾斜しながら着陸した。これは月面が凸凹しており、多くの小さなクレーターがあるからだ。しかし月面着陸の場合に、小さなクレーターは大問題にはならない。安定着陸の真の障害は岩だ。当然ながら、中国の地上スタッフは月周回衛星により多くの画像を撮影しており、岩の比較的少ない場所を選択し、安全に月面着陸を成功させると信じている」と語った。
宇宙環境は非常に複雑で、いかなるミスも最終的な失敗を招きかねない。プレシア氏は、「月周回衛星であれば、発生した問題を分析し、修正することにより、任務を継続できる。しかし着陸の際に問題が発生すれば、できることは何もない。月からの信号はそれほど遅れないため、問題発生を知ることができるかもしれないが、火星の場合は着陸に失敗してもすぐには気づけない」と述べた。
プレシア氏は、「月面着陸技術は数十年間に渡り大幅に進歩し、墜落の危険性は大幅に引き下げられた。しかし最も危険な段階は、最後の数メートルだ。軟着陸の場合、もっとも重要な技術は障害物の回避だ。月面に接近する時に、カメラもしくはレーダーなどにより障害物を発見した場合、探査機の位置を移動させなければならない。本当に障害物があるかはさておき、重要なのはやはり回避する技術だ」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年12月2日