人気小説や漫画を映画化し、アイドルを出演させることで、原作とアイドルのファン両方を抱え込んでしまうという手法を採用しているものの、日本映画が全て短命な消費商品になっているわけでは決してない。それとは反対に、商業映画は資本論理に堅く従って発展しているため、商業と文芸の隔たりが少しずつ縮まっている。例えば、アイドルの二宮和也は映画版「暗殺教室」で、アニメのようなオーバーな演技で死神役を演じたかと思うと、山田洋次監督の「母と暮らせば」に出演した際には、被爆死し亡霊となって母親の前に現れるという、せつない役を見事に演じ切った。その他、カンヌ国際映画祭などの映画祭で度々話題となっている是枝裕和監督は、吉田秋生の人気漫画「海街diary」の映画版のメガホンも取った。(文:柳青。文匯報掲載)
人気女優の綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが主演を務め、四姉妹を演じた映画版「海街diary」は、「奇跡の美人四姉妹実現」と好評を博した。しかし、この映画で4人の美人にばかり注目していると、是枝裕和監督に失礼となるだろう。同映画では、舞台となっている鎌倉の四季を情緒たっぷりに映像に盛り込みながら、ストーリーでは複雑に絡む家族内の秘密に迫る。責任、裏切り、別れなどやや重い話題を背負いながら、四姉妹は、明るい方向に向かって、もがきながら成長していく。このような映画を見ると、是枝裕和監督のエッセイ集「歩くような速さで」の「今、映画は確かに大型の娯楽場の消費項目になっている。創作者は現状と向き合わなければならず、どのようにして新たな場所で人々とうまくやっていくかを模索しなければならない。映画に登場する人物も、カメラの反対側にいる監督と同じリズムで呼吸している人であり、撮影対象も実際に生活している人達。映画とは、創作者と見る人の両方が持っている少しずつ流れる時間を表現するもの」という言葉を自然と思い出す。「海街diary」や最新作の「海よりもまだ深く」に、「そして父になる」、「奇跡」、「歩いても 歩いても」などと同じジャンルで、「呼吸」を美学とし、ストーリーの流れも登場人物も呼吸のようにナチュラルで、悲しみが大げさに表現されているわけでもないのに涙がこぼれてくる。
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