現在、アジアの人口の95%が中所得国に暮らしており、この割合は1990年代初期は10%に満たなかった。急速な経済成長が、特に中国、インド、インドネシアの急成長がこの巨大な変化の最も大きな推進力だ。目下直面する問題は、中所得国が中心のアジアが、高所得エリアへのモデル転換を達成できるかどうかだ。
1つの国がいくつかの発展段階を越えるたび、成長の駆動力には変化が生じる。国が中所得国から高所得国へのモデル転換を経る時には、物的資本の蓄積がやはり重要だが、国はさらに努力して、全要素の生産効率の向上を促進しなければならない。つまり各種生産要素を効率よく利用して生産性を高める必要があり、単に生産要素への投資を増やすだけではいけない。
過去50年間、高所得国へのモデル転換に成功した国々の経済成長をみると、全要素の生産効率の向上による寄与度が平均で30%に達するが、モデル転換を達成していない国は寄与度が10%にとどまる。全要素の生産効率を高めるため、アジアの中所得国は革新に力を入れ、質の高いインフラを建設し、人的資本の向上をはかる必要がある。
革新は生産を多様化させ、精密化させ、生産効率を向上させた。経済の複雑さが増すごとに、新しい理念や技術に基づく機会型起業が、既存市場のニーズに対応するための起業に比べてますます重要になっている。高所得国の一人あたり累計平均研究開発(R&D)支出は中所得国の2.5倍だ。また情報通信技術は革新を後押しする。こうした成功により高所得国の仲間入りした国は、国民100人あたりのインターネットユーザー数が中所得国より18人多く、ネットに接続する携帯電話の保有台数も31台多い。
実証と分析の結果、1つの国がある年に国内総生産(GDP)の1%をインフラ投資にあてたなら、同年のGDPは0.3%増加し、7年後のGDPは1.2%増加するという。国の発展レベルはさまざまで、優先的に発展させるべきインフラもそれぞれ異なる。低所得国が真っ先に注目するのは水の供給や交通といった基本的ニーズだ。経済発展にともなって、電力供給、情報通信技術などのハイレベルインフラの建設がますます重要になってくる。
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