湯春甫さんは中国の工芸美術家で、中国の国家級無形文化財に認定されている「天台山乾漆夾苧技法」の伝承人でもある。「乾漆夾苧」は、浙江省天台県で受け継がれている民間伝統手工芸の一つで、東晋(317-420 年)の時代から、この技法を使って寺院の仏像を作る職人がいた。この技法を使って作られた仏像は千年以上たった今も美しさを保っている。銭江晩報が報じた。
故宮博物院が例外を作って湯さんの作品を収蔵
1999年9月、湯さんが6年の歳月をかけて作った高さ3.46メートルの仏像「千手観音」が、中国工芸美術創作展示会に展示された金賞作品9点から、一位に選ばれた。そして、北京で展示された時には、多くの寺院の間でこの仏像が好評を博した。
北京の故宮博物院の楊伯達・元副院長は、「この仏像を見た時、本当に素晴らしい芸術品だと感じた。当博物院は1911年以前の文化財だけを収蔵し、本来はそれ以降の芸術品は収藏しない。しかし、湯さんのこの作品は例外として、当博物院で収藏することとした」と話す。
日本の仏像と対決
1991年に南京博物院で開催された中日韓仏教文化フォーラムに、数人の日本人が金漆の仏像3体を持って参加し、交流会で、「日本の仏像を作る技術は世界最先端」と語った。同会には、湯さんも仏像2体を持って参加しており、「天台県の仏像は伝統技法を使って作られている。日本の仏像とどっちが優れているか比較してみないか」と提案したという。
そして、その場で対決が始まり、湯さんが沸騰したお湯を日本の仏像に掛けると、しばらくして、仏像の表面の金が剥がれ落ちてしまった。一方、湯さんの仏像はお湯をかけても何の反応もなかった。
「日本の仏像には金ペーストが使われている。日本の仏像製造技術は最先端であるものの、天然の材料ではないため、化学反応が起きてしまう。それに対して、天台県の仏像に使われているのは天然の材料。仏像を椒江区の海に数年間つけておき、その後きれいに洗ってもピカピカになる。私たちの技法で作ると、腐食することはなく、長期にわたって保存できる」と湯さん。
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