鴻海精密工業の郭台銘会長が抱いた東芝の半導体事業買収の夢はほぼついえた。6月21日、東芝は半導体メモリー事業の売却で、日本の産業革新機構と日本政策投資銀行、米系投資ファンドのベインキャピタルで構成する企業連合を優先交渉先に選定したことを明らかにした。「第一財経日報」が伝えた。
東芝によると、同社の半導体事業のもつ企業価値、海外への技術漏洩防止、日本国内の雇用確保、買収手続きなど複数の観点から総合的に評価した結果、同企業連合の提案が最も優位性を備えていたという。
東芝の半導体メモリー事業は現在、世界市場でシェア3位で、米ウエスタンデジタルと提携し、両者で4つの工場を共同経営している。米調査会社HISのまとめたデータでは、2016年の売上高で計算すると、世界のメモリー市場で東芝のシェアは19.3%、ウエスタンデジタルは15.5%で、合わせるとトップのサムスンの35.2%に迫るという。
今回の買収劇には同企業連合のほか、郭会長の鴻海と子会社のシャープ、韓国のSKハイニックス、米ブロードコムなども事業の価値を高く評価して参入し、熾烈な競争が繰り広げられていた。
鴻海に買収されたシャープは、モノのインターネット(IoT)を今後の戦略の重点とし、半導体メモリーが核心技術になることから、郭会長は今年に入ってから公の場で東芝半導体事業の買収に乗り出すことを表明し、日本のソフトバンクグループと提携して、日本側の認可を獲得しようと試み、さらには買収後に米国にメモリー工場を建設する構想まで打ち出していた。
今回の買収劇では日米連合の呼び声が常に最も高く、今回の東芝の決定も市場の予測を裏切らなかった。ウエスタンデジタルは提携関係にあることから、東芝の半導体事業売却に一貫して反対しており、現在は今回勝利した日米連合と提携を進めている。この日米連合には日本政府の息がかかっており、日本の技術流出を防止するという目的も達せられる。またSKハイニックスも産業革新機構、ベインキャピタルと提携関係にある。
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