おもしろい日本ドラマは、生活における残酷な部分を描き出しながらも、見る人をあたたかく包み込んでしまうという至難の業をやってのける。日本の「癒し系」ドラマは、多くの社会の最下層の人たちや世間一般から外れた人たちが放っている輝きを通して、見る人を癒してくれる。
それに対して、中国には「癒し系」ドラマはほとんどなく、アイドルが登場する「成功」を描いたドラマや、家庭のトラブルなどを描いたホームドラマ、現実離れしたストーリーの時代ドラマなどがほとんどだ。そして、中国版「深夜食堂」には、人気アイドルらが出演し、登場するのはバッチリメイクの女優ばかり。プレッシャーを背負い、あくせく働く一般庶民の雰囲気がないため、日本版とは雰囲気が異なっている。
社会形態の違いが、中日の映画・ドラマや大衆のニーズなどの違いを大幅に生み出していると言えるだろう。
中国では、一部の人は生活に困ることは既になくなり、精神的な部分を満たすことを求めるようになっているのに対して、多くの人は依然として、アイドル的色彩の濃い英雄主義を通して自分を鼓舞し、本屋では成功するための秘訣が書かれた書籍がたくさん並べられ、多くの人がそれを読んでいる。中国人が必要としているのは、ポジティブで発奮させくれ、エネルギッシュな要素を含んだ主流文化なのだ。
一方、日本の文化は、先進国の東洋文化の代表で、生活必需品を備えるために奮闘することに注目する時期は既に過ぎ、生活を楽しむことに意識を傾け、文化産業に対して求めていることも、中国とは大きな差がある。
米国の映画・ドラマでよくテーマになっているのは、「世界を危機から救う」であるのに対して、日本では「自分のピンチからどのように脱するか」がよくテーマになる。そして、中国では、「家族の危機」や「生活の危機」からどのように脱するかによくスポットが当てられる。
社会形態や社会の需要が異なるため、文化作品に込められる精神も異なり、それらを無視して中国で上映されたり、リメイクされたりした作品が中国の風土にはなじまないというのは当然のことだ。ストーリーだけが同じで、商業化され、中国人のニーズとずれている作品は、「奇形」なものとなるのが運命だ。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年7月10日
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