「人間になりたがった猫」の舞台写真
「人間になりたがった猫」を中国で上映 「自信ある」
「中国の役者を起用して劇団四季の中国語版ミュージカルを中国で上演したい」というのが、浅利さんの2番目の願いだ。「劇団四季に加入してからは、それが私の夢にもなった」と王さん。王さんは14年、劇団四季の元メンバーで中国に戻った仲間たちと、「四季歓歌文化芸術有限公司」を立ち上げ、長年の信頼関係があったため、劇団四季から「人間になりたがった猫」の上演ライセンスを手に入れることができた。
「人間になりたがった猫」は、劇団四季の名作ファミリーミュージカルで、米国の児童文学作家ロイド・アリグザンダーの小説を原作としている。同作品では、人間になるのが夢である猫のライオネルが、魔法使いの主人・ステファヌスに魔法をかけられ、人間になる。そして、人間の街「ブライトフォード」の人々と一緒に過ごし、人と人の愛を感じるストーリーだ。79年に東京で初公演が行われて以降、「人間になりたがった猫」は日本で2000回以上上演され、オリジナルミュージカルとして、日本のミュージカルランキングトップ10に入っている。20年前、劇団四季が無償で著作権を提供し、中央戯劇学院のミュージカルクラスの教師、学生が「人間になりたがった猫」を中国で上演したことがある。計40回以上上演され、好評を博したほか、孫紅雷、趙永斌、侯岩松などの中国のミュージカル界の人気役者を輩出してきた。
「この作品は、長い間、多くの観客を楽しませてきたミュージカル。この作品を中国で上演するに当たり、私たちは自信に満ちている」。そう話す王さんによると、中国ではミュージカルの上演には、▽海外のミュージカルを上演する▽世界的に有名な作品を中国語版にリメイクする▽オリジナルミュージカルを作る---の3つの方法があるという。現在、2番目の方法はあまり見られない。特に、日本のミュージカル作品をリメイクするという点では、「人間になりたがった猫」は、新たな道を切り開いたといえる。
「人間になりたがった猫」の舞台写真
日本の名作を本当の意味でローカライズ
今回上演される中国語版は、中国国内外の一流の関係者を集めたエリートチームによってリメイクされ、中国の観客に最大限合わせるため、セリフから舞台上での表現方法まで、ローカライズされている。脚本の翻訳は、中国語を母語とし、日本で長年暮らした経験を持つ王さんにとっては難しいことではない。「でも、翻訳はローカライズの過程の一部分にすぎない。どのように文化の違いを乗り越え、上演を中国人観客にできるだけ身近なものにするかについて、私たちは、深く熟考した。
計画をよく練り、それを熟成させるのに、3年の月日をかけ、王さん率いるチームはようやく今年「人間になりたがった猫」の上演にこぎつけた。今年はちょうど、中央戯劇学院の95年入学のミュージカルクラスの卒業20周年で、中日国交正常化45周年にも当たる。王さんは、それら全てが「縁」だと感じている。「私たちは、一番いい時に、一番いいメンバーに出会うことができ、この作品を作り上げることができた」と王さん。北京公演終了後、同作品は、今月13日に上海で公演が行われ、中国全国ツアーが始まる。
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