米国のトランプ大統領は8月14日に覚書に調印し、米通商代表部(USTR)に米「通商法」第301条に基づき中国の貿易行為を調査するよう指示を出し、中国の関連の法律、政策、実践または手段が米国の知的財産権、革新、技術移転に不合理にまたは差別的に存在を与えている状況について調査を行うよう指示した。301条とは、1974年制定の「通商法」の第301条のことで、通常の301条とスーパー301条がある。米国は世界貿易機関(WTO)の紛争解決メカニズム以外に、自国にとって有効な救済手段を模索する。トランプ大統領の強調する「米国第一主義」や貿易問題への大きな関心を踏まえると、米国の「301条調査」発動の動機がまだはっきりしない状況の中、国内外の多くの論評が米国は中国に貿易戦争をしかけるつもりではないかと推測する。米国が「301条調査」発動によって貿易戦争をしかけるかどうかは、理性的な態度で、客観的に分析する必要がある。「国際商報」が伝えた。(文:夏■<王へんに韋>・上海大学シンクタンク国際経済貿易ガバナンス・中国改革開放連合研究センター研究員)
そのためには次の4点が重要だ。
第1に、このたび米国が中国に対し「301条調査」を発動したやり方は思いがけないことではなく、米国の一貫した貿易上の立場とやり方を引き継ぐものだ。実際、米国が中国に「301条」をちらつかせたのはこれが初めてではない。2010年10月に、全米鉄鋼組合(USW)の要請を受けて、米国は中国のクリーンエネルギー政策・措置に対して「301条調査」を発動したことがある。1989年からは、USTRが毎年「スーパー301条の報告」を発表し、米国の各貿易パートナーの知財権保護の状況について審査と評価を行い、中国は優先的観察対象リストによく名前が挙がっていた。米国際貿易委員会(USATC)も10年と11年の2年連続で、中国の知財権侵害、自主革新政策の米国経済への影響に関する報告書を発表し中国の知財権侵害が米国経済に与えた損害を試算した。こうしたことからわかるのは、中国は早くにWTOに加盟し、知財権関連の法律はWTOの枠組み下にある「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS)に基本的に合致しているが、米国産業界は中国の知財権保護と法執行(エンフォースメント)の状況に依然として不満だということだ。
第2に、トランプ大統領が今、「301条調査」を発動するのは、これまでの一連の動きと明らかに異なる点がある。まず10年に中国のクリーンエネルギー政策・措置に対して発動した「301条調査」では産業界からの非常に明確な訴えがあった。今回の「301条調査」は産業界が駆動したものでないのは明らかで、産業界から具体的な訴えや明確な訴えは出されていない。次に毎年発表されるスーパー301条の報告とは異なり、今回の調査は中国を名指ししており、貿易パートナーに対して知財権についての検討を幅広く行ったものではない。
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