中国の自動車大手・吉利集団は近く、ベンツブランドを擁するドイツのダイムラー社の筆頭株主になる予定で、ドイツメディアの「繊細な神経」に触れている。だがドイツ政府はこの買収案件は「商業的取引」とコメントし、ドイツ工商界は中国企業のドイツへの投資意欲を歓迎するとしている。「北京日報」が伝えた。
▽ドイツ政府:これは「取引」、だが「注意」はする
ドイツ経済エネルギー省のブリジット・ツィプリース大臣はダイムラーの本社があるシュトゥットガルトでメディアの取材に答え、「政府の立場を改めて申し上げると、吉利による株式の買収は『商業的取引』だと考えている」と述べた。
ツィプリース大臣はドイツ紙「ハンデルスブラット」に対し、「ドイツは開放的なエコノミーであり、相手方が市場の法律やルールに従って事を進めるのであれば、外からの投資を歓迎する」とした上で、「政府は他国がドイツの開放政策を利用して自国産業の利益をはかることのないよう『特に注意する』」と述べた。
吉利集団が2月24日に明らかにしたところによれば、すでに傘下の海外企業を通じてダイムラーの議決権のある9.69%の株式を取得済みだ。買収手続きの完了後、吉利はベンツの親会社ダイムラーの筆頭株主になり、株式は長期的に保有することを考えているという。
吉利は中国最大の民間自動車グループで、2017年の売上高は約2700億元(1元は約16.8円)に上り、世界で約346億元の税金を納め、その約半分は海外で納めたものだった。10年には18億ドル(1ドルは約106.8円)でスイスのボルボ社の株式を100%買収しており、現在傘下には吉利汽車、LYNK&CO、ボルボ、プロトン、ロータス・カーズ、ロンドンEVカンパニーなどのブランドがある。
▽ドイツ企業:投資が増えることを楽観視
ロイター社の報道によると、昨年行われた中国資本によるドイツ企業の大型買収取引数件がドイツの「繊細な神経」に触れているという。
ドイツはこれまでずっと欧州で経済の開放レベルが最も高い国を任じ、メルケル政権は経済貿易の保護主義に繰り返し反対を表明してきた。だが昨年7月には、欧州連合(EU)で初めて外資による買収を制約する法律の制定に着手し、ドイツの戦略的安全保障に関わる重要技術がEU加盟国以外の手に渡らないようにした。この新しい法律の適用対象は既存の類似の法律の適用範囲である軍事、情報セキュリティ分野から広がってドイツの「重要インフラ」に関わる企業が対象になった。だがドイツ政府は外資がドイツ企業の株式の25%以上を買収する場合でなければ関与することはできない。そして今回、吉利が買収したダイムラーの株式は10%を下回る。
有名コンサルティング機関アーンスト・アンド・ヤングが1月に発表した統計データをみると、17年に中国資本企業がドイツで行った投資は総額137億ドルに上り、過去最高を更新した。昨年に中国資本企業に買収されたドイツ企業は54社で、16年の68社を下回った。投資分野は主に製造業に集中し、食品産業、医薬品産業が続いた。ドイツ商工会議所のエリック・シュバイツァー代表はこうした動きについて、「中国はドイツの福祉に貢献している」と評価した。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年3月5日
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