韓国大統領府は10日、朝鮮の最高指導者・金正恩氏の特使である金与正朝鮮労働党中央委員会第1副部長から文在寅大統領に対し、訪朝に招待する旨、伝えられたことを明らかにした。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
平昌冬季五輪を契機とした朝韓の前向きな連動が最近注目されている。中国は朝鮮半島最大の近隣国として明確に朝韓の接触・対話を支持するとともに、北南関係の改善を支持し、現在の緩和基調が続くようにするよう国際社会に呼びかけた。これは朝鮮半島の非核化実現、対話と協議による問題解決、朝鮮半島及び地域の平和・安定維持の堅持という一貫した立場の延長線上にある。
中国側の立場は朝鮮半島情勢に対する客観的判断に基づくものでもある。
中国は、朝鮮半島の対話・交渉の扉は開かれつつあると見ている。近年、朝鮮半島は核問題が膠着状態に陥り、緊張が続いた。平昌冬季五輪の機を借りて、北南双方は互いに刺激し合い、摩擦を激化させる行動を停止した。韓国は定例の合同軍事演習の延期を米国に求めた。朝鮮も双方の接触以来、核・ミサイル活動を行っていない。事実上の「相互停止」状態が、両国の連動に望ましい雰囲気を醸成した。文大統領は朝鮮のハイレベル代表団と青瓦台で会談した。金正恩氏は妹を特使として派遣し、朝韓関係改善に関する親書を文大統領に渡すとともに、訪朝要請を口頭で伝えた。朝韓は互いに善意を示し、同じ方向に向かう姿勢を示した。
懸念されるのは、特定の大国が対話の扉を閉ざそうとしていることだ。米国は韓国が朝韓関係の修復を推し進めることを問題視し、朝鮮が冬季五輪を「手玉に取る」ことに警戒する必要性を公言している。米国は極限まで圧力を加えることを朝鮮核問題処理の主要手段とすると強調し続け、朝鮮に対してこれまでで最も厳しい経済制裁を速やかに打ち出し、引き続き朝鮮を孤立させると公言している。米国は日本とも足並みを揃え、平昌冬季五輪・パラリンピック後に、延期された軍事演習を本来の計画通り実施し、米日韓協力を堅持することを確認した。
平昌冬季五輪は本来、朝米が接触を実現し得るチャンスだった。だが、ペンス米副大統領は朝鮮に拘束され、釈放された後に死亡した米国人大学生の父親を平昌冬季五輪に招待し、韓国コルベット「天安」沈没事件記念碑を訪れ、在韓朝鮮関係者と会談した。一連の行動は朝鮮を批判する狙いがあり、朝韓間の宿怨を忘れないよう韓国に注意を促すものでもある。ペンス副大統領は朝鮮代表団との接触も明らかに避けた。冬季五輪開幕式前に文大統領が各国政府要人のために開催した歓迎レセプションで、ペンス副大統領は記念撮影に遅れ、短時間で会場を離れ、金永南・朝鮮最高人民会議常任委員長と全く接触せず、儀礼的な握手すらしなかった。一連の行動は朝鮮に対する米国の敵意を示している。米側の圧力を前に、朝鮮側は言動を慎むよう米側に忠告し、米側と会見する考えはないと表明した。朝米交流は実現しなかった。
朝米は過去において朝鮮半島核問題解決の重要なチャンスを何度か逸した。現在、朝鮮半島情勢は複雑かつ敏感で、摩擦や衝突が複雑に錯綜している。朝韓関係の緩和は得難く、本来この勢いを大切にし、維持して、交渉再開を各者に促すべきだ。中国は対話の扉を開くことを支持しており、各者が同じ方向に向かうことがなおさらに必要だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年2月13日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn