全人代代表、中国航天科技集団第六研究院長の劉志譲氏はこのほど記者に対して、「当院は国内の原子力研究・設計部門と共同で、宇宙原子力案の論証と重要技術の研究作業を展開している。今後は核熱や原子力発電などの複数の案を形成し、宇宙事業の適応性を広げていく」とした。科技日報が伝えた。
中国が発表した「2017−45年宇宙輸送システム発展ルートマップ」は、2040年頃まで原子力スペースシャトルで重大な進展を実現するとした。
劉氏によると、現役の液体燃料ロケットエンジンは化学推進であり、比推力が推進剤そのものの化学エネルギーの制限を受けるため、未来の有人火星探査や大型惑星間貨物輸送などの任務における需要を十分満たすことが難しい。
核熱ロケットエンジンは通常、水素を推進剤とする。100MW以上の原子炉を使い水素を超高温に加熱すると、比推力が水素・酸素エンジンの2倍以上に達し、推力が理論上は100トン級に達する。劉氏は、「例えば現在ならば、地球から火星に移動するには約8ヶ月が必要だが、大推力原子力宇宙船を採用すれば、飛行時間を1ヶ月半まで短縮できる」とした。
しかし宇宙原子力技術は、難易度が極めて高い。情報によると、米国と旧ソ連は1950年代にシステムプラン、重要技術、試作機の研究を行った。試験・検証条件、核安全及び防護などの難題があり、現在までも実用化の成果を手にしていない。劉氏は、「原子力システムは大規模かつ重量で、関連施設が複雑なため、宇宙事業に用いるならば各方面の条件で制限を受ける」と指摘した。
さらに専門家によると、原子力を有人宇宙船に使用するならば、放射線防護技術の突破が必要となる。これができなければ、宇宙飛行士は毎日8回のX線検査を受ける程度の放射線にさらされることになる。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年3月9日
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