米ロサンゼルスの裁判所は3月28日、米コーヒーチェーン大手・スターバックスに対し、コーヒーに発がん性が指摘される化学物質「アクリルアミド」が含まれているとの警告を表示すべきだとの判断を下し、注目を集めている。科技日報が報じた。
米国の裁判所が指摘したアクリルアミドは、常温では無臭白色の化学物質で、「アミノカルボニル反応(メイラード反応)」と呼ばれる化学反応により生成される。同じデンプンを含む食品でも、高温で加熱すると色が濃くなり、香りも強くなり、生成されるアクリルアミドの量も増える。
コーヒー豆自体には、アクリルアミドは含まれておらず、スターバックスが意図的に添加したものでもなく、コーヒー豆の焙煎の際に発生しているものだ。
中国農業大学食品科学・栄養工程学院の范志紅・副教授によると、「アクリルアミドは、よくある物質で、コーヒーだけでなく、ポテトチップスやフライドポテト、麦茶、炒めた料理にも含まれている。デンプンやアミノ酸が含まれている食品なら、油で揚げても、揚げなくとも、120度以上で加熱すれば、微量のアクリルアミドが生成される。温度が高いほど、加熱時間が長いほど、生成されるアクリルアミドが増える」という。
多くの動物実験がアクリルアミドには発がん性があることを示しており、神経系、乳児の発育、男性生殖へ悪影響を及ぼすとされているが、がんとの関係については、まだはっきりとはしていない。また、動物実験の段階でとどまっており、人体への悪影響は完全には実証されていない。
上海交通大学医学院付属瑞金病院の臨床栄養科の栄養医師・卞冬生氏は、「アクリルアミドは、体外細胞実験でも動物実験でも発がん性が認められている」としながらも、「人の体内にできる腫瘍と、食品を通して摂取するアクリルアミドとの明らかな関係性を証明する、十分な疫学病的証拠はない」との見方を示す。
復旦大学付属腫瘤(腫瘍)病院の腫瘍予防部の鄭瑩・主任は、「長期にわたって、コーヒーと発がんリスクの関係は、業界でも注目を集める研究であるものの、ずっと結論が出ない状態」と説明する。
解放軍309病院栄養科の左小霞・主任は、「どんな発がん性物質でも、一定の濃度で、ある程度長い期間摂取、接触して初めて、悪性腫瘍ができる直接的原因となる。もし、単に発がん性を指摘し、その濃度や摂取期間などを考慮しないなら、科学的でない」と強調する。
コーヒーの「発がん性」に関しては、多くの専門家が「パニックになる必要はなく、理性的に対応しなければならない」と指摘する。そして、完全に避けるというのは不可能であるものの、火を通して殺菌するということは考慮に入れ、食品を高温で長時間加熱しすぎないことなど、日常生活の中でちょっとしたことに注意するのがよいという。また、できるだけ、蒸したり、煮込んだりする料理方法にして、炒めたり、揚げたり、焼いたりするのは減らすとよい。油条(中国式揚げパン)、麻花(小麦粉をこね、油で揚げた中国の菓子)、焼いたり、揚げたりした食品、膨化食品などもあまり食べないようにしたほうがいい。炒めたり、揚げたり、焼いたりする場合も、野菜や肉をできるだけ大きく、厚く切っておけば、「アクリルアミド」の生成を減らせるという。
その他、専門家は、アクリルアミドは人体に吸収されやすいほか、母乳を通して乳幼児が摂取する可能性もあり、乳幼児の解毒能力は弱いため、乳幼児のいる女性は特に、油で揚げた食品などを避けて、アクリルアミドの摂取を極力避けなければならないと注意を呼びかけている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月2日
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