米政府は最近、保護貿易主義の圧力を頻繁にかけ、輸入品への関税を引き上げると脅し続け、自らの意図に従うよう理不尽にも他国に要求している。米政府の横暴な手法に、国際世論から批判の声が相次いでいる。(人民日報「鐘声」国際論評)
「関税を引き上げるいかなる手法も、事前に世界貿易機関(WTO)を経ないのなら、中国政府さらには米業界の批判を招くのは必至だ」。これはトランプ大統領が301条調査に基づき中国からの輸入品に高関税を課すことを指示する大統領令に署名する前後に、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが示した見解だ。「貿易紛争は最終的にはルールに従い、WTOの枠組で解決する必要がある」。独紙ハンデルスブラットもこう呼びかけた。
時代に合わない保護貿易主義の旗を振りかざしている米国だが、その下にあるのは自らの孤独な影だけだ。米国の伝統的同盟国でさえも、貿易紛争問題では米国の側に立っていない。米国が232条調査に基づき鉄鋼・アルミニウム製品に対して追加課税を課した後、欧州理事会は「国家安全保障」という理由は成立しないと批判した。最近行われたWTO製品貿易理事会会議ではEU、日本、韓国、オーストラリアの代表がいずれも米国に対して、貿易障壁を設けることはルールを基礎とする多角的貿易体制を脅かすと警告した。英国のリアム・フォックス国際貿易相はメディアに「英国はWTOの揺るぎない支持者であり、国際貿易体制の側、つまりルールの側に立っている」と明言した。こうした国々の明確な態度が、米国にとって痛撃であることは間違いない。
米国のいわゆる301条調査と232条調査発動は、冷戦時に国内で成立した貿易法に基づくものだ。WTO創設から20年余りが経ち、成熟した紛争解決制度もある中での、WTOを回避するこうした一方的選択は国際ルールに反し、時代とも相容れない。
さらに重要なのは、米国が貿易障壁を大々的に設ける口実そのものが事実の根拠を欠くことだ。鉄鋼産業を例に取ると、2011~2017年の米国国内の鉄鋼生産量の減少は2.6%のみで、2009年以来鉄工業の雇用は数千人増えていることを統計は示している。「国家安全保障」に影響を与えるとの理由が成立しないのは明らかだ。米国の目的は、関税引き上げによって自国の産業を露骨に保護することに他ならない。これは公正な貿易ルールを踏みにじるものだ。
貿易戦争に対する米政府の熱狂と盲目的自信は、国際貿易ルールを自らの都合で適用し、または排除する横暴さを体現している。まさに米国が入念に妨害しているために、WTO上訴機構の新委員は任命が遅れ、その有効性が深刻にそがれている。経済グローバル化が人々の心に深く浸透した21世紀にあって、米国の手法は支持されない。
ルールなくして秩序なし。国際貿易ルールのかつての主要策定国の1つであった米国の今の手法は「破壊国」としての性質を明らかに帯びており、世界に秩序を失う危険性を与える。国際世論が一致して失望し、憂慮しているのはこのためだ。「21世紀の国際貿易は力や強権ではなく、ルールに基づく必要がある」。ラミー元WTO事務局長が指摘したように、ルールに基づく多国間貿易体制にも一定の調整が必要だが、まずその体制を揺るぎないものにすることが前提だ。
経済グローバル化の時代において、大勢に逆らう保護主義的行動はせいぜい孤独な横暴であり、実は自らの発展空間を圧縮するのみであり、他国に選択の機会を一層増やすことになる。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年3月28日
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