トランプ米大統領が22日に中国の対米輸出を規制する大統領令に署名して以来、米国の有名なシンクタンクや大手メディアは、対中貿易赤字の原因を深く分析し、米国経済に対する貿易戦争の悪影響を明らかにする文章を多数発表している。人民日報の取材を受けた米ビジネス界の識者は、中国の報復措置が米国経済に与える損害を懸念し、慎重な行動を米政府に促した。
「国の貿易において最も重要なのは全体的均衡だ」
「トランプ政権の保護主義的措置は全く無意味だと歴史と論理は告げている」。カーネギー国際平和研究院の黄育川研究員は「トランプ大統領はかつて『貿易戦争は良い、簡単に勝てる』と述べた。だが鉄鋼に関税を課すことで消費財の価格が上昇し、鉄鋼を原料とする企業の競争力を下げるのが現実であり、米国の巨額の貿易赤字を減らすことにはならない。トランプ大統領の行動は貿易の原則に対する自らの根本的誤解を反映している」とした。
黄氏によると、生産ネットワークが世界の貿易体制を決定する時代において、貿易は多角的であり、二国間の観点から国際貿易を理解するのは一面的だ。ある国の製品は他の国の部品を含む可能性が高い。ある国と貿易赤字で、他の国と貿易黒字であることは論理に合う。実際には、国の貿易において最も重要なのは全体的均衡だ。二国間の貿易赤字を抑制するために、一国の特定の製品に関税を課すことで、米国の貿易赤字が全体的に減少することはなく、赤字が別の国に移るだけだ。
米誌フォーリン・アフェアーズ電子版は、トランプ政権による中国製品への高関税は、米国の企業と消費者の利益を損なううえ、世界の貿易体制を破壊し、損害が収益を遥かに上回ると指摘した。また、米政府のこの行動がさらに広範な世界貿易体制に重大な連鎖反応を及ぼし、他の国が米国をまねて対米貿易障壁を設ける可能性を警告した。
「貿易戦争に勝者はない。最大の損害を被るのは消費者だ」。黄氏は「世界貿易機関(WTO)の運営は公平で迅速だ。米国がすべきなのはWTOの枠組での行動であり、これを否定することではない」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年3月30日
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