このほど再任が決まった日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は、「2%のインフレ目標達成まで量的緩和の規模を縮小することはない」と発言したが、これは言葉そのままではなく「市場の混乱を避けるため」と受け止められている。実際、日銀の政策委員会は、超緩和の金融政策が引き起こす副作用やリスクの検討を始めており、黒田氏も昨年の講演の中で思いがけず「リバーサル・レート」の概念に言及し、自身も当面の政策の限界を認識していることが浮き彫りになった。
日本の超緩和金融政策のマイナス作用は国債市場の動きにはっきり現れている。2013年以降、日銀は主に国債の買入によって市場に「大量に活力を注いできた」が、このために日本の国債取引は半減してしまい、一日あたり平均取引量がかつての35兆円規模から15兆円規模へと一気に減少した。国債市場は徐々に活力を失い、今や「ゾンビ市場」と呼ばれることもある。
日本国債市場は発達を遂げ、債券市場で80%以上の割合を占め、回転率や流動性といった重要指標はどれも活力に満ちあふれ、経済運営に重要な役割を果たしてきた。その国債市場の停滞により、日本の金融リスクは大きく高まったといえる。
どのようなリスクがあるか。まず国債の流動性が大幅に減少した。かつて日本国債市場では商業銀行や生命保険会社などの金融機関が主体となり、12年には国債保有率が63%を超えていたが、現在は17%と22%の計39%に減少した。一方、日銀の現在の保有率は41%を超え、12年の約4倍に増えた。日銀の口座に眠る国債は市場に流通することなく、日本国債市場はいずれ「買う国債がなくなる」事態に陥る。
次に国債市場の価格形成メカニズムが崩壊した。日銀は16年9月、「長期・短期金利を誘導目標とする」金融緩和政策の新たな枠組を打ち出し、中核となる2つの政策として10年もの国債の利回りを0%で維持することと短期金利をマイナス0.1%にコントロールすることを決めた。こうした独占的政策は市場のメカニズムを大きくねじ曲げ、資源配置の役割を発揮することを難しくした。
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