米国政府は中国に対し、今度は1000億ドル相当の輸入品に対する追加関税賦課方案を検討している。投資家たちは中米間に大規模な貿易摩擦が起きるのではないかという懸念を激化させ、6日のニューヨーク株式市場は暴落し、主要株価指数が軒並み2%を超える下げとなった。
ある国際アナリストは、トランプ政権が対中貿易摩擦の緊張を更に高めたことは、米国の貿易赤字縮小に助けとならないどころか、かえって金融市場まで不安定にするという結果を生んでおり、このような一国主義と貿易保護主義の行状は米国経済ひいては世界経済にも損害を及ぼすことになるだろうとの見方を示している。
こうした中米経済貿易摩擦の影響を受け、6日のニューヨーク株式市場の主要株価指数は同日の取引でそれぞれダウ工業株平均指数が2.34%とS&P500種株価指数が2.19%、ナスダック総合指数が2.28%下がり、なかでもダウ工業株平均指数は下げ幅を700ポイント余りまで拡大した。同時に、投資家たちのパニック具合を測るシカゴオプション取引所ボラティリティ指数(別名「恐怖指数」)は13.46%急上昇し、最終的に21.49ポイントに落ち着いた。
さらに中米貿易摩擦に対する懸念の激化は、国際原油価格の勢いも削いだ。この日、ニューヨーク商業取引所の先物5月限の軽油価格は2.33%安となり、こうした懸念は金を始めとするリスク回避の資源の需要増を引き起こしている。
国際アナリストの多くは、トランプ政権が対中貿易摩擦の緊張を更に高めたことは、米国の貿易赤字縮小に助けとならないどころか、かえって金融市場に変動を引き起こし、米国経済、ひいては世界経済に損害を与え、世界経済の回復の足を引っ張ることになるとみている。
セントトーマス大学ヒューストン校ジョン・テイラー教授は、米国政府が世界貿易機関(WTO)の紛争解決メカニズムを回避して、独断専行の一国主義的な行動を行うことは「深刻な誤り」との見方を示している。
また、モルガン・チェース資産管理部のグローバルチーフストラテジストであるデイビッド・ケリー氏は、米国が抱える巨額の貿易赤字の主要な原因は財政予算赤字が高すぎることから引き起こされており、すでに減税改革を進めている以上、中国との貿易摩擦を起こすことは賢明とは言えず、米国の貿易赤字縮小に有益とならないばかりか、米国の金融市場の安定さにも不利に働くとの見方を示している。
アメリカテキサス大学の金融・経済学のスティーブン・マギー教授も中国商品の輸入関税を引き上げ、さらには貿易摩擦を引き起こすことでは貿易赤字問題の真の解決にはならないとの見方を示している。
ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミストであるマーク・ザンディ氏は現在の米国の給料と物価上昇のプレッシャーはますます大きくなっており、高い関税はこうしたプレッシャーを激化させるだけで、米国はより多くの雇用機会を失うことになりかねないとの見方を示した。(編集TG)
「人民網日本語版」2018年4月9日
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