「米政府は貿易障壁を設けて巨額の貿易赤字を減らすことに専念している。だが国の貿易均衡に影響を与える主要要因は国内の貯蓄と投資の不足だ」。オーストラリア国立大学アジア経済研究局長のシロー・アームストロング氏は同大クロフォード公共政策大学院「東アジアフォーラム」ウェブサイトに発表した文章で、米政府の保護貿易政策に明確に反対し、国際社会が一致した行動を取って国際貿易体制を脅かす行為に対処することを主張した。
アームストロング氏によると、個人消費、投資と政府の支出を比べると、米国民の貯蓄は明らかに不足している。貿易赤字は必ずしも米国人の雇用機会を奪ったり、経済成長を妨げるものではない。米国はサービス貿易で中国に対して黒字であるうえ、他国に対して資本剰余がある。実際、オーストラリア生産力委員会のモデルは、米国の保護貿易主義政策が貿易均衡に資さないことを示している。
トランプ大統領は他国の鉄鋼・アルミニウム及び中国からの商品に高関税を課すのは、国内雇用保護のためだと主張している。アームストロング氏によると、この理由は成り立たない。「トランプ政権の措置は米国の消費者と企業の状況をさらにまずいものにする。米国の消費者は多くの商品のためにさらに多くの費用を払わざるを得なくなる。これは米国人の実質収入の減少を意味する」。
米政府はしばしば中国企業が米国企業から知的財産権を盗んでいることを口実に、中国からの輸入品に対する高関税の合理性を証明している。アームストロング氏によると、中国の知的財産権保護制度はすでに効果が現れ始めている。「中米が二国間投資協定を通じて、問題について交渉するのが賢明なやり方だ。貿易戦争をすれば誰もが敗者となる」。
アームストロング氏によると、もし中米の貿易戦争が避けられないのなら、他国は歪められた国際貿易環境の下で自らを守るために貿易戦争に加わることを余儀なくされる。
「貿易大戦は貿易障壁のない国への大量の安価な商品の流入を招くだろう。鉄鋼業を例に取ると、米国が外国製鉄鋼に増税するため、相対的に安価な韓国やカナダその他の国の鉄鋼が他の市場に一層の機会を求める。そしてオーストラリアのような国は自国の鉄鋼メーカーを保護するための措置を講じる」。
アームストロング氏は「世界第1、第2のエコノミーによる貿易戦争は必ずWTOなど国際ルールに基づく多くのシステムを脅かすうえ、世界貿易を支配するルールに対する人々の自信を失わせる」と指摘した。
オーストラリアは国際貿易立国であり、常に自由貿易の揺るぎない擁護者だ。アームストロング氏は「国際社会が足並みを揃え、集団で反応して初めて、世界貿易制度に対する米国の脅威に効果的に対処できる」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年4月3日
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