韓国の文在寅大統領は18~20日に平壌を訪問し、朝鮮の金正恩国務委員会委員長と会談した。朝韓首脳は19日、「9月平壌共同宣言」に署名し、相互関係の改善と発展、地域の軍事的緊張の緩和、朝鮮半島の非核化と和平交渉の推進について新しい重要な合意にいたった。中国外交部(外務省)はこれを歓迎し、双方の積極的な努力を称賛した。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
今回の朝韓首脳会談の重点議題の1つは朝鮮半島の非核化だった。朝鮮は今年初めから核・ミサイル実験を停止。5月には豊渓里(プンゲリ)核実験場の坑道や付属施設を爆破し、その正式な廃棄を宣言した。各国の報道陣が現地に招待され、爆破・撤去活動を取材した。朝鮮はこうした行動によって非核化推進における誠意を示した。これについて中国は、朝鮮側の積極的な動きを国際社会は歓迎し、後押しし、支持すべきだと繰り返し強調してきた。当然、朝鮮側のみの努力では不十分だ。
朝鮮半島の非核化プロセスは、各国が向き合って進むことが必要だ。今回の共同宣言で朝鮮はさらなる非核化に条件をつけた。つまり、米国が6月12日の「朝米共同宣言」の精神に基づき、相応の措置を講じることだ。実際、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は18日の論説で、米国の対朝政策に逆戻りが見られることを批判した。米側は朝鮮側に「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」の先行実現を要求し、他の問題を議論できるのはそれからだとしている。だがこの主張は早くから朝鮮側に退けられているし、米朝間の合意でもない。朝鮮は米朝双方の努力が正比例していないことにも不満を抱いている。米側は制裁を強化し続け、他の各国に最大限の圧力に歩調を合わせるよう求め、逆に一方的に朝鮮に行動を強要している。朝鮮からすると、米側のこの行動は朝鮮側の安全保障上の懸念を故意に軽視しており、朝米首脳会談で合意した新型の朝米関係の構築という目標に逆行するものだ。このため朝鮮は、朝米協議が進展しない責任は完全に米側にあると指摘している。
朝鮮の最近の発言は、最近朝鮮半島の非核化プロセスが直面した試練を想起させる。米大統領が8月に国務長官の訪朝中止を突然命じたことで、各国は今年に入り一度は好転した朝鮮半島情勢が逆転することを懸念した。これに対して中国は速やかに声を上げ、朝米が朝米首脳会談での合意に従い朝鮮半島問題の政治的解決プロセスを推進することへの支持を表明。朝鮮半島の平和・安定維持という揺るぎない立場を改めて明確にした。
朝鮮半島の非核化プロセスに、中国は重要な役割を発揮している。中国は一貫して公平・公正な姿勢で、国際的な核不拡散体制を断固として維持し、朝鮮半島の非核化実現を堅持すると同時に、各国の安全保障上の理にかなった懸念に配慮し、個別対策と抜本的対策を兼ね備えて摩擦に対処している。立場の溝に対しては、積極的に接触し、話し合い、互いの理にかなった懸念に配慮し、誠意と柔軟性をさらに示すよう各国に呼びかけている。
平和と繁栄、和解と協力は朝鮮半島及びこの地域の人々に共通の宿願だ。現在、朝鮮半島情勢の発展は得難い歴史的チャンスを迎えている。関係国が速やかに政治決断をし、従来の悪循環から抜け出し、現有の成果をさらに揺るぎないものにし、拡大して初めて、朝鮮半島問題の政治的解決は持続可能で不可逆のプロセスとなりうる。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年9月20日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn