脳の睡眠と覚醒を調整する重要な「スイッチ」が、ついに発見された。中国陸軍軍医大学基礎医学院の胡志安教授が率いるチームによる、「視床室傍核は視床が覚醒を維持するための最重要核」という研究成果が26日付のサイエンス誌に掲載された。同研究では、視床室傍核が覚醒を維持する重要な脳の部位であることを初めて証明し、かつその神経回路のメカニズムを明らかにした。科技日報が伝えた。
視床はこれまでも覚醒の維持との関連性が推測されてきた。しかし視床には30以上の核が含まれ、そのどれが最も重要な効果を発揮するのかが不明だった。
睡眠と覚醒の異なる時期における視床神経単位の興奮性の法則について、胡氏のチームは視床室傍核の活動と覚醒の間に緊密な関連性があることを発見し、視床室傍核が覚醒の維持に対して最も重要な効果を持つことを実験によって証明した。胡氏は「室傍核が側坐核をコントロールし、人の睡眠から覚醒への転化を促す。この発見は臨床上、3つの潜在的な意義がある」としている。
まず、関連疾患の発生メカニズムの認識を深めるのに役立つ。視床室傍核の損害は、嗜眠、昏迷などの意識障害・疾患の潜在的な要因である可能性がある。人の視床室傍核が過度に興奮すれば眠れなくなり、過度に抑制されれば目覚めが悪くなる。これは嗜眠、昏迷、不眠症などの治療方向を明らかにする。次に、麻酔薬の脳内ターゲットの特定に役立つ。最後に、特殊な状況下で一定の手段を講じることで、実情に応じ覚醒の時間を延長・短縮し、覚醒の水準を調整する。これにより人類は自分の睡眠と覚醒をコントロールできるようになる。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年10月26日
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