中国で一押しを他人にシェアする「レコメンド経済」が人気の理由とは?

人民網日本語版 2019年05月24日15:20

もともとは「草を植える」という意味の「種草」という中国語が、現在中国ではネットで「自分の好きなことを他の人にシェアし、それを他の人にも好きになってもらう過程を指す」意味で使われるようになり、すでにネット流行語の一つとなっている。今年の母の日には、多くの人が母親への感謝の気持ちを表すためプレゼントを贈ったが、新浪微博(ウェイボー)では、一押しプレゼントをレコメンドする「母の日の『種草』プレゼント」という投稿のクリック回数が2000万回を超え、花やスキンケア商品、アクセサリー、家具、健康食品などが紹介された。

このように消費者はどんなものでもレコメンドすることができる。では、「レコメンド経済」とは一体何なのだろう?消費者はレコメンドをどのように見て、そしてどんなメリットとデメリットがあるのだろうか?

ネットにおける「レコメンド」の新たなスタイル

「種草(レコメンド)」は、通常の消費とオンラインのコミュニケーションが結びついた行為と言える。多くの若者は、「草」にはどこにでもあるという意味が含まれており、どんなものでも他の人に勧めることができるため、何でもレコメンドの対象になると考えている。

街を歩いていて、オシャレなコーディネートをしている人を見かけた場合、それを覚えておき、友達とおしゃべりしている時に、それを勧め合う。しかし現在では若者を中心にSNSを使ったレコメンドが盛んに行われている。調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)が発表した「レコメンド世代・95後のファッション消費報告」では、「95後」(1995年から1999年生まれ)は、「レコメンド世代」と呼ばれている。上海で働くホワイトカラーの劉暁敏さんは、「クチコミアプリ・小紅書、動画共有サイト・bilibili(ビリビリ)、新浪微博、Q&Aサイト・知乎などのオンラインプラットホームにはレコメンドに関わる内容がたくさんある。体験の紹介やランキング、おススメや一押し商品といったタイトルをよく目にする。使用体験を他の人にシェアする人は、『up主(投稿主)』、『博主(ブロガー)』、『達人』などと呼ばれ、フォロワーが多い場合、フォロワーグループを立ち上げて、意見交換をしたり、推薦しあったりもする」と説明する。

友達同士でいろんなものをレコメンドすることは、そのほとんどがソーシャルコミュニケーションの一種と考えられている。例えば、「アイドルと同じアイテム」、「同系カラー」などをテーマに、自分と趣味が同じグループを見つけることができると、自分の居場所を見つけた気分になれる。こうしたグループではレコメンドの内容が一種の「話のタネ」となっており、今の若者独特の交流スタイルの一つとなっている。

キー・オピニオン・リーダーのセールスポイントはその人物設定

専門家は、「消費構造が変化すると同時に、消費行為も衣食住や移動といった生活必需品を確保するところから、質の高い生活スタイルや個性的な生活といった精神的満足感を追求するスタイルへと変化している。多くの若者にとって、レコメンドは、単なる機能の選択ではなく、生活スタイルや個性、ブランドの背後にあるシンボル化された意義の選択でもある」と分析する。

一般のネットユーザーがレコメンドしているほか、強い影響力を持つキー・オピニオン・リーダーがなにかの商品を推薦したりすると、大きな注目を集め、それがトレンドとなることさえある。

中国人民大学商学院の丁瑛准教授は、「ネット有名人やキー・オピニオン・リーダーの核となるセールスポイントは『人物設定』、つまり、その人物的イメージと生活のコンセプトにある。消費者は何を買うかを決める時、往々にして他の人がどうしているかを考える。その主な原因はその人自身の『自己認識』にある。つまり自分はどんな人間で、どんな生活を送るべきかという点にある。もし、あるネット有名人の人物設定に『自己認識』を覚えた場合、消費者はその人の勧める商品を買いたいと思うようになる」と分析する。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年5月24日

  

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング