お金で時間を買う「代行ビジネス」、中国で拡大

人民網日本語版 2019年05月08日16:12

出張に行こうとして身分証明書を忘れたことに気づき、宅配サービス・閃送の配達員に空港まで届けてもらう。フレッシュな生鮮食品やお菓子を食べたいが家を出るのは面倒という時、デリバリー配達員に買ってきてもらう。ここ数年、市内規模の配達ビジネス市場が日に日に拡大し、顧客の足代わりになる「代行ビジネス」のプラットフォームが登場すると、宅配やデリバリーの大手がこの「大きなパイ」をめぐる戦いに次々乗り出した。先月に京東快逓が市内スピード配達サービスを始めると発表したのに続き、美団もこのほど新ブランドの美団配送を打ち出し、配達プラットフォームを開放すると発表した。

飲食品のデリバリーから始まった市内配達サービスは、今や個人レベルのさまざまな配達シーンに広がりをみせている。しかしこうした時間をお金で買う代行サービスは現時点では監督管理の「真空地帯」にあり、サービスの質と情報のセキュリティをどのように保障するかが、消費者の懸念する問題点になっている。

▽京東と美団が市内配達サービスに相次いで進出

美団外売のアプリケーションには、グルメのほか、スーパー・コンビニエンスストア、野菜・果物、お薬配達、購入代行など10数種類の項目がある。美団配送の魏巍社長は、「美団配送の資源を開放することで、横方向では企業とユーザーのより多くの品目やシーンにおけるリアルタイム配達のニーズに対応し、縦方向では末端の配達資源の共有と都市物流の全体的効率の向上が可能になることを目指す」と述べた。

業界関係者は、「デリバリー配達員の人件費が上昇したことが、美団が事業規模を拡大し、配達サービスを開放した原因の1つ」との見方を示した。美団の決算によれば、2018年のコストの中で最大のものはデリバリー配達員に関するコストで約305億元(1元は約16.3円)に上り、コスト全体のうち4割近くを占めたという。

市内配達サービスの競争に新規参入した「プレイヤー」は1社にとどまらない。今年4月、同じく配達員のコスト増に悩む京東は、企業と個人向けに市内スピード配達サービスを打ち出し、文書、食品、生花、果物と生鮮食品、デジタル製品などを取り扱うと発表した。順豊速運も昨年から市内スピード配達サービスのテストを進めており、今度は北京でのサービス提供範囲を広げ、これまでの5環路内から6環路内に拡大すると発表した。

宅配に詳しい徐勇さんは、「過去の物流企業の競争には同質化による価格競争という問題があった。人々の効率に対する要求がますます高くなるのにともなって、物流企業は効率をポイントとする競争の段階に入り、サービスの細分化が次のトレンドになった」と分析した。

▽代行プラットフォームでは個人向けサービスが人気

自らフローをもたらす宅配企業とデリバリー企業が市内配達サービス市場に次々力を入れるようになり、市内での代行サービスを主要事業とするベンチャー企業も新たな事業の開拓を進めている。大手企業が自前の配達チームを抱えるのと異なり、市内の代行サービスのプラットフォームではより身軽なクラウドソーシングのスタイルでサービスを提供するところが多い。

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