カウズらサブカルの旗手がビッグビジネスの対象になった理由 (2)

人民網日本語版 2019年06月07日10:30

北京大学文化産業研究院の陳少峰副院長によると、ダブルネーム商品のTシャツを購入することはすでにそれ自体の意味を超えて、トレンドとステータス認知を象徴する文化的記号になっているという。陳副院長は「サブカルチャー圏内の人々の大半はブランドに対するロイヤリティが高く、購買力も高い。彼らがお金で買っているのは服そのものではなく、面白さを追求しているところが大きい。こうした文化的記号を通じて自己肯定感を求めているのだ」と指摘した。

インターネット+スター効果

カウズの日の出の勢いは決して簡単に成し遂げられたものではない。むしろ一定の時間を経て徐々に消費市場へと進出していったのであり、そこには一連の時代の特徴が刻まれている。カウズは実は2008年にも中国を訪れたことがある。北京オリンピックを控え、元体操選手でスポーツ用品メーカー「李寧(LI-NING)」創業者の李寧氏は国内外のアーティストを招いてオリンピックのプロモーションを行ったが、その中にカウズも含まれていた。当然ながら、当時カウズは中国国内でまだ知られていなかった。

十数年後、インターネットの急速な発展により、アーティストはソーシャルメディアを通じて話題になり、いっそう名声を高めることができるようになった。カウズの中国国内での影響力は、多くのスターたちがカウズの作品を使用した商品を着用したことと切り離せない。芸能界の周杰倫(ジェイ・チョウ)、林俊傑(リン・ジュンジエ)、劉雯(リウ・ウェン)などが身に着けたことで、カウズの知名度はそれぞれのファンの間でいつのまにか広がっていった。

今回のダブルネーム商品Tシャツを買った呉文傑さんは、「私は周杰倫の熱烈なファン。周杰倫はカウズが好きなので、今回のコラボTシャツも着ると思う」と取材に答えた。呉さんがカウズを知ったのはまさに周杰倫が好きだったからだ。「カウズはとてもクールだと思う。今では毎年このブランドに5000元(1元は約15.7円)以上使っている」と呉さんは言う。

この他、フランスのオークションハウスであるアールキュリアル社のファビアン・ノーダン副総裁は、「今の若い世代は非常に豊富な情報源を持っている。それに伴って生じた問題は、彼らが何かをコレクションするのは自分の気持ちが動かされたからではなく、SNS上で何度も見たからだ、ということだ」と語っている。

インターネットの「流行っているものはとりあえず手に入れたいという心理」と「ネット上の人気者の真似をする習慣」の影響下で、ますます多くの一般人がこうしたトレンドを追いかける風潮に巻き込まれ、自分もおしゃれだと認められたがるようになっている。北京市社会科学院首都文化発展研究センターの沈望舒副センター長は、消費者が個性とトレンドを追求するようになったことでサブカルチャーに市場が生まれたと指摘。さらに、「文化クリエイティブはかなりの程度においてサブカルチャーから生まれている。しかもストリートカルチャーそのものが比較的優れた大衆基盤を持っており、若い人たちから好まれている。それに加えて、一部のスターのデモンストレーション効果によって、そのスターのファンの間で一定程度の経済効果が生まれ、ストリートカルチャー全体の消費をけん引している」と語った。

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