「漢服」人気は現在高まる一方だ。都市の大通りや路地、特に人気観光スポットでは、漢服を着て出かける人が増加の一途を辿っている。その見た目の良さから漢服に魅せられた人がいる一方で、漢服の背後にある奥深い文化の虜になった人もいる。中国新聞網が伝えた。
16日、「95後(1995年から1999年生まれ)」女性の解明麗さんがオープンした「漢服体験館」では、解さんが客に化粧を施し、漢服を着付けた後、店内で「セルフサービス撮影」を行っていた。客の中には、大学生もいれば、海外で仕事をしていて帰国したタトゥー彫り師もいて、SNSに投稿された漢服が彼女らの注意を引き、「SNSで見た漢服がとても綺麗だったので、自分も着てみたいと思った」とその来店の理由を語った。
済南大学美術学院服飾学科の鮑懐敏・主任は、漢服の人気が人々の間で高まっている原因について、「漢服を着ると、民族的自覚がより高まると感じる人がいる。また、漢服文化に夢中になっている人もいれば、シンプルにその美しさに魅了されている人もいる。漢服は、単なる衣服ではなく、文化的記号のひとつでもある。漢服には民族文化が内包されており、文化復興の一部でもある。我々は、漢服の復活という素晴らしい願望を抱き、それを現実生活の中に持ち込もうとしている。とはいえ、これは文化の選択肢の一つであり、決して万人の共通認識が求められるわけではない」との見方を示した。鮑主任は、漢服文化について十数年研究を続けており、今では、より幅を広げて、伝統服飾文化をめぐり学術面での探索を進めている。
「いま、若者の間で、漢服は『爆発的』発展を遂げている。若い人は、より情熱的かつ積極的、より多く努力しており、より大きな影響力を備えている。いかなる物事でも、発展途上では、若い人の関わりがあってこそ生命力を持ち得る。漢服が復興の兆しを見せた十数年前、それに興味を持った人々の年齢層は、30~40歳代が中心だった」と鮑主任は指摘した。
鮑主任が指摘するように、漢服に関心を持ち始める若者がますます増えている。漢服館を営む解明麗さんは、「私が参加している済南漢服交流グループには、約800人のメンバーがいる。済南『漢服圏』のメンバーは数千人にのぼるとみられ、その数はいまも増え続けている。メンバーのほとんどが13歳から25歳の若者だ。彼らはいつも一緒に、漢服を身に着けて済南◆突泉(◆は足へんに勺)や大明湖など観光スポットに出かけては、写真撮影にいそしんでいる」と話した。
崔英傑さんが所属する山東大学季棠漢服サークルは、2013年に立ち上げられ、このサークルは、漢服に関する知識の普及を目的とした講義や屋外撮影イベント、射芸(弓術)や生花など他の伝統文化とのコラボ活動を展開し、漢服文化をより多くの人に広めている。
「漢服の注目度と影響力は高まる一方だ。その原因として、ますます多くの専門家が介入し、漢服産業の発展をさらに促進する役割を担うようになったことがある。また、民族への自信が高まり続け、民族文化や伝統文化の復興がますます重視されるようになったことも、漢服の発展を後押ししている」と鮑主任は分析した。
解明麗さんは、「さまざまなニューメディアのプラットフォームは、漢服文化の普及を促進する役割を果たしている。現在、『00後(2000年代生まれ)』や『10後(2010年以降生まれ)』の多くが、ニューメディアのプラットフォームを通じて漢服について理解を深めている。彼らは今後、漢服のより良き発展の道を切り開いていくことだろう。『90後(1990年代生まれ)』は現在、科学普及活動を進めており、より多くの人に漢服の存在を知ってもらおうとしている。『00後』は、漢服を生活に取り入れ、日常生活でなくてはならないものとなっている」との見方を示した。
そして解明麗さんは、「漢服について理解する人がますます増えたのち、中国はそれ専用の祝日を新たに設けてもいいかもしれない。その日には皆がそれぞれの民族衣装を身に着けて外出し、誰もが他人から非難されることはない。また高齢者の長寿の祝いや子供の成長の節目、成人式、卒業式、端午節、七夕祭りなどの特別な日や祝祭日に、人々は皆、漢服で祝ってもいいかもしれない。そうすることでより一層セレモニー感が増す体験ができると思う」との考えを述べた。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年6月19日