天津大学精密機器・光エレクトロニクスエンジニアリング学院の黄顕教授のチームはこのほど、液状全柔軟性スマートロボットの開発に成功した。これは柔軟性電子産業及び植込み型医療機器の革命的な進展になる可能性がある。新華社が伝えた。
柔軟性電子機器は超薄型、柔軟性、展延性という肌に似た特性により、エネルギー、医療、通信などの業界で高い将来性を持つ。
黄氏によると、柔軟性電子技術を用い研究開発した小型軟体ロボットは理論上、形状を何度も変えることが可能で、運動、キャッチ、輸送、触覚感知などの機能を実現できる。しかしこの軟体ロボットは現段階で重大な問題を抱えている。伝統的な硬いセンサーと回路が必要であり、これが性能の実現の大きな妨げになっているのだ。現代社会の多元的な需要が、全柔軟性ロボットの登場を待っている。
自然界の柔軟なクラゲやワムシなどの腔腸動物や浮遊生物からインスピレーションを得た黄氏のチームは、液滴の柔軟で形を持たない特徴、電子機器の超薄型で柔軟の特徴を利用し、新たな「スマート液滴」である液状全柔軟性スマートロボットを構築した。この超小型・全柔軟性でプログラミング可能な液状スマートロボットは、異なる環境条件下で運動・変形・センシングを実現できる。
このロボットは良好な運動・環境適応能力を持つほか、温度センサー、湿度センサー、光学センサー、応力センサー、ブドウ糖センサー、食品毒素センサー及びワイヤレスエネルギー収集モジュールなど複数のセンサーを搭載している。将来的に遺伝子検査、化学合成、薬品投入などの分野で応用できる。人の体内に入り検査・治療を行う「血管医師」になる可能性があり、極めて重要な科学的意義と応用の価値を持つ。
黄氏によると、従来の柔軟性電子機器の担い手には人間、動物、その他の各種柔軟性物体が含まれる。「液滴を担い手とし、液体共同運動を追跡する柔軟性ロボットは世界初だ。液滴と柔軟性電子の結合も、柔軟性電子技術の最新の形態を示している」関連の研究成果は世界の工学・自然科学分野で権威ある学術誌「Advanced Science」に掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年11月12日