香港地区の観光、小売り、飲食、貿易の公式統計によると、6‐9月期、4大業界の收益は3000億香港ドル以上減少した。10月の最新統計はまだ発表されていないものの、業界は減少幅がさらに拡大していると予想している。10月を含む過去5ヶ月、経済收益が4000億香港ドル以上減少することはほぼ間違いない。
悪化の波は、香港地区の四大産業の一つである貿易と物流業にもドミノ倒しのように波及している。暴力行為により、空港が運営停止に追い込まれたり、交通機関がマヒ状態に陥ったりして、物流の時間的不確定要素が大幅に増加している。また、インバウンド客数が大幅に減少し、消費の減少や貿易の落ち込みに直接つながっている。香港地区特別行政区政府統計処の最新統計によると、9月の輸出入総額は7270億香港ドルで、前年同期比で約9.5%の落ち込みとなった。
そして産業が不振に陥ると、失業率が上昇する。現在、香港地区の失業率は1ポイント上昇して2.9%になっている。過去2年、失業率が上昇したことは一度もなかった。なかでもその直撃をうけているのが小売り、ホテル、飲食業界で、失業率は平均4.9%にまで上昇、ここ数年最悪の数字となっている。特に飲食業界にかぎっては6.0%と、ここ6年で最悪となっている。その他、香港地区の住民の所得の伸びも鈍化している。労働組合・香港工会連合会が最近実施したアンケート調査によると、回答者の44%が今後所得が減ることのほか、リストラに遭うのではないかと不安に感じていた。もし、このまま失業率が右肩上がりになれば、香港地区の消費に大きな影響を及ぼすのは必至で、そうなれば投資が落ち込み、内部の成長の原動力が弱まり、香港地区の経済にとってはまさに泣きっ面にハチの状態となってしまう。
通年でマイナス成長は不可避か
特別行政区政府経済顧問弁公室は15日、2019年の同地区の経済成長予測を1.3%減に下方修正した。下方修正は今年2回目で、通年でのマイナス成長となれば2009年以来10年ぶりのことだ。
今年2月、特別行政区政府は財政予算案を発表した際には通年の経済成長を2-3%と予想していた。しかし、8月中旬に、経済の落ち込みが続き、それを0-1%に下方修正。今の混乱している情勢を背景に、第3四半期に経済はさらに悪化して、上半期の成長分を相殺し、GDPが前年同期比で0.6%減となり、予想を大幅に下回った。
香港地区特別行政区政府財政司の陳茂波・司長は、「経済が好転する気配は見られず、予想通りの成長に戻ることはないと言っていいだろう。成長予測を下方修正することは避けられない。つまり、今年の経済はマイナス成長となる可能性が高いということだ」との見方を示す。